WordPressの引っ越しをするためには、サーバー内のデータをバックアップする必要があります。そのデータのサイズによっては使えるプラグインが左右されますので、不要なデータがあるなら削除するなどの事前準備をしましょう。
サーバー移転の手順のおさらい
実際の作業に入る前に「やるべきこと」をリストにしてあります。途中で「あっ!」とならないように参考になさって下さい。
- サーバー選びとエックスサーバーへの申し込み方法
- 現在使っているワードプレスの中を掃除し、バックアップを取る
- 移転先のサーバーでドメイン設定やWordPressの新規インストールをする
- 引っ越し用のプラグイン「All-in-One WP Migration」を使ってデータの移動をする
- hosts設定を使って引っ越し先のデータが正しく反映されているかチェックする
- ドメインのDNS設定を変更して転居先ネームサーバーに向ける
- SSL化する(新規ブログはWordPressインストール後に行う)
- googleアナリティクスなどの設定を変更する
サーバーの掃除の必要性
サーバー引っ越しで必要なデータのバックアップは、そのサイズが小さければ小さいほど扱いやすい上、エラーを起こす可能性も低くなります。それになにより、無料のプラグインを使うことができます。
私はこの点を考えていなかったため、最初に掃除作業をしないままバックアップ作業に入りました。すると使う予定だったプラグインでエラー。別のプラグインでもエラーが発生。どちらも「データ量」によるものでした。
というわけで、サーバーを引っ越すなら、まずは不要なデータを削除することをおすすめします。
プラグイン「duplicator」のエラー
エラーを起こしたプラグインとその原因に触れておきます。
私が引っ越しで使う予定だったのは、WordPressのお引っ越し用プラグインとして有名な「duplicator」です。「duplicator」はWordPressのデータをまるっとコピーし、出来上がったパッケージ(インストーラーとアーカイブデータ)をダウンロードして、それを移転先のサーバーに展開するだけで引っ越し出来るのですが、残念ながらエラーを起こして使えなかったのです。
最初はたまにある原因不明のエラーだと思ったので即やり直しましたが、何度やっても警告が出続けたのです。その時の画像がこちら。
PHPのバージョンなどのサーバーの条件はクリアしており、グリーンのチェックと「Good」の文字が入っています。しかしファイルのサイズが大きかったり、画像も大きいせいか、ご覧の通り赤い文字で「Warn」とでていました。でもサイズの問題だし、サイズによる利用制限も無いし使えるかな?と思って強行作業。が、やはりダメでした。というか、データベースが異常に大きいサイズですし、これはもう諦めるしか無いと、作業を中止しました。
それでもエラーの原因が気になったので検索してみるとデータが大きいと時間が掛かりすぎてエラーを起こすという指摘が色んなサイト様に記載されていました。そんなわけで「duplicator」を使用する事を諦めました。
プラグイン「All in one WP Migration」のエラー
「duplicator」が使えないなら別のプラグインを使うしかありません。というわけで次は「All in one WP Migration」というプラグインを試しました。が、またしてもダメでした。でも今回ダメだった理由は明確で、単純に無料で使うためには512MBまでという条件に引っかかっていたからです。
もちろん有料版にしても良かったのですが「お金払っても使えなかったら嫌だなあ」と思い、画像ファイルは自分で移動させることにして、容量を少なくしました。が、それでも512MBをオーバーしていたのです。これはびっくりでした。
ならば「画像以外のデータをダイエット」させるしかない、ということで、不要なものをプラグインを駆使して削除した結果、劇的なサイズダウンが実現し、無事に無料でバックアップが取れたのです。
「All in one WP Migration」の詳しい使い方は次の記事で詳しく説明するので少しだけお待ち下さい。
データが肥大化する原因
バックアップを取る段になり、いつの間にか自分のサイトは巨大なデータを抱えている事に気がつきました。というわけで、私のサイトを圧迫していたデータの原因です。
- 使わなくなったプラグイン
- お試しで入れたものや昔使っていたけど今は使ってないものがそのままありました。
- 画像
- 記事からは削除してもう必要の無い画像ファイルが結構ありました。
- リビジョン
- WordPressの自動保存機能でびっくりするほどのデータが溜まっていた
- データテーブル
- データベースの中には一旦作られたテーブルデータなるものがたまっていました
試して使わなかったプラグインは都度消しているつもりでしたが、残っているものもけっこうありました。そして放置したままの画像データも意外と多くて削除しまくりました。ついで沢山有ったのは「リビジョン」データ、データベースの不要なデータテーブルでした。
WordPressは、投稿内容を自動保存するという便利な機能がついています。が、それは際限なく自動保存されるため、放置しているとデータは溜まる一方になります。というわけで、私はまずこれらのデータを削除するためのプラグイン「Better Delete Revision」なるものがあるのでそれをインストールして利用しました。
ただし、このプラグインよりも更に多くの種類の不要データ削除ができるプラグイン「WP-Optimize」をインストールして使う方が良いと思います。というか、「Better Delete Revision」でリビジョンデータを削除しただけでは、当サイトのデータのシェイプアップが叶わなかったのです。なので、まだこの手のプラグインを利用した事の無い方は「WP-Optimize」をおすすめします。
プラグイン「Better Delete Revision」の使い方
折角なので使い方を記載しておきます。まず「Better Delete Revision」を検索してインストール後、有効化します。
インストールして有効化すると管理パネルのサイドの「設定」の中に「Better Delete Revision」も並んでいるので選びます。すると管理用の画面になるので、左にあるボタン「Check Revision Post」をクリックします。
すると、たまっているリビジョンがずらりと出てきます。
一番下にスクロールさせると削除するための「Yes,I would like to delete them!」というボタンがあるのでクリックします。
無事に削除出来ました。
プラグイン「WP-Optimize」の使い方(おすすめプラグイン)
「WP-Optimize」は、自動保存される「リビジョンデータ」だけでなく、不要なデータテーブルやスパムコメントなど、色々な不要データをクリーンアップできるプラグインです。簡単に使い方を説明しておきます。
まず、プラグインの新規追加で「WP-Optimize」を検索してインストール後、有効にします。
設定場所はダッシュボードの左側に出てきています。
選んで開くとこんな画面に。ご覧のように個別に最適化することもできます。
定期的に最適化されるようにしておくと楽なので設定タブを選んで設定してから保存しておきましょう。
最初にご紹介した「Better Delete Revision」もシンプルで良いのですが、スケジュール設定機能がありません。なのでやはり「WP-Optimize」をインストールして自動的に最適化されるようにしておくのが良いと思います。
WordPressのバックアップ
引っ越し前のWordPressを綺麗に掃除できたところでバックアップを取っておきましょう。
定番のプラグイン「BackWPup」の使い方
「WordPress」「バックアップ」で検索すると真っ先に出てくるプラグインが「BackWPup」です。プラグインを新規追加するメニューから「BackWPup」を検索してインストール後、有効にしましょう。
そのままでも簡単な英語表記なので使えますが、私のように英語部分がちょっとあるだけでも不安な方は、プラグイン配布元で日本語化ファイルをダウンロードしてきてFTPソフトなどで所定の場所にアップロードしましょう。
上記のURLからダウンロードしたZIPファイルを解凍すると「backwoup-ja.mo」と「backwpup-ja.po」というファイルが入っています。両方のファイルを「ドメイン/public_html/wp-content/languages」の中に入れます。これで日本語表記に変わっているはずです。
ではサイドメニューに表示されるようになったメニューからダッシュボードを選びます。
これがダッシュボード画面です。
バックアップを取るためには「job(ジョブ)」を作る必要があります。一つのジョブで全てのバックアップを取る事もできますが、「投稿記事やコメントなどのデーターベースをバックアップするジョブ」と「画像などのファイルをバックアップするジョブ」の二つのジョブを作って、それぞれ別のスケジュールでバックアップを取るようにします。
ちなみにBackWPupでは、バックアップを保存する場所を複数から選べるようになっています。どこに保存するかは皆さんの判断でお決め下さい。
- フォルダー
- 同一サーバー内のフォルダーに保存されます
- メール
- メールでデータを受け取れます
- FTP
- 他のサーバーに保存できます
- Dropbox
- 2GBまで無料で使えるクラウドサービスです
- S3サービス
- Amazonのクラウドサービス。5GBの容量がり、1年間は無料ですが、その後は使用した分の料金が必要です。
- Microsoft azure
- マイクロソフトのクラウドサービス。使用した分の料金をしらは居ます。
- Rackspace
- アメリカのクラウドサービスです。日本ではまだ知名度が低く、利用者も少ない様子です。
- Sugersync
- 100GB月額750円から利用出来るクラウドサービスです。
ちなみに私は「フォルダー」と「Dropbox」を保存先にしています。何故フォルダーだけにしていないかと申しますと、同一サーバーのフォルダに保存していた場合、そのサーバーにトラブルが発生してしまうとバックアップデータも飛んでしまうからです。なのでその予備対策として「Dropbox」も指定しているのです。
ただ、今回引っ越したエックスサーバーさんはサーバートラブルに確実に対応できるようにバックアップ体制を強固なものにしているので、フォルダーにバックアップだけでも良いんだろうなと思っています。
でもより安全性を求めるなら別サーバーを用意してバックアップを取っておくと良いでしょう。
宛先:フォルダーでバックアップを取る方法
ではまず、フォルダー宛に投稿内容やプラグインのリストのバックアップを取るジョブを作る方法から解説します。
ダッシュボードに出ている2番目の手順「ジョブを作る」をクリックするか、サイドバーの「新規ジョブを追加」を選びます。すると設定画面になるので、判りやすい任意の名前を付け、「データベース」と「インストール済みプラグイン一覧」にチェックを入れます。保存されるデータの名前はデフォルトで大丈夫です。
データのアーカイブ形式を決めます。windowsユーザーは「zip」、macユーザーは「Tar GZip」を選びます。私はmacなので「Tar GZip」です。そして保存先は「フォルダー」を指定します。
ログファイルの送付先を入力します。WordPressで登録したアドレスが自動で入力されていますが、携帯宛にしたい方などは変更しておきましょう。そしてチェックは入れたままにしておきましょう。こうしておくと「エラー」が起こった時にだけメールが届きます。
基本設定はこれで以上なので保存します。
続いて、バックアップを取るスケジュールを設定します。手動ではなく予約しておく形式なので「WordPressのcron」にチェックを入れます。
スケジューライタプは「基本」で大丈夫です。このジョブは投稿記事などを含むデータベースのバックアップなので、「毎日」「深夜」に取るようにしておきます。深夜何時にするかは自由ですが、皆さんがほぼ寝ている3時以降で良いと思います。これで保存しておきましょう。
次はデータベースのタブを選びます。するとずらっとチェックの入った表示になります。基本的にすべて保存で大丈夫です。
保存されるファイル名はそのままで、そしてファイルはGzipにして保存しましょう。
プラグイン一覧のテキストファイルを保存します。これは自分で判っていたらバックアップを取らなくても良い気がしますが、私は不安なのでwバックアップします。名前もそのまま、テキストファイルで小さいですからそのままで保存します。
最後に保存先の設定です。一般設定で「フォルダー」を選んでいるので上のタブに「宛先:フォルダー」と出ていますので選びます。
保存されるフォルダーは自動的に作られていますが、名称を変える事もできます。保存される数はデフォルトの15のままでも良いですし、皆さんのご自由になさってください。これで全ての設定が完了です。
続いて、ファイルのバックアップ用ジョブを設定します。新規ジョブを追加し、一般設定から行います。保存対象としてファイルにチェックを入れましょう。
スケジュールはデータベースと同じように「WordPressのcron」を選びます。
時間を設定します。ファイルはサイズが大きくなるので、私はデータベースの時間とずらして、少しだけ遅くしました。
保存するファイルはデフォルトで大丈夫です。
特別なオプションがありますが、特に設定変更する必要は無いのでそのまま保存します。特別なオプションが気になる方はググってみて下さい。
あとは保存先設定です。ここも特に変更する必要は無いのですが、フォルダ名やバックアップ数を指定したい方は変更なさってから保存しましょう。
これでフォルダーへのバックアップ設定は完了しました。サイドメニューからジョブを選ぶと作ったジョブが並んでいるので、その中からバックアップを取りたいものにカーソルを持って行くとすぐ下にメニューが表示されるので「今すぐ実行」をクリックしてバックアップを取ってみましょう。
するとページ上部にバックアップ中の動静が表示されて後、完了します。何の問題もなく無事にバックアップを取れたら、ジョブリストにダウンロードリンクが表示されるようになります。
宛先:Dropboxでバックアップを取る方法
さて次はDropboxと連携させて、バックアップを保存する方法の解説です。一般設定タブで、ジョブ名を付けますが、フォルダー宛のバックアップとは違う名前にしておきましょう。
圧縮形式を各々の環境に合わせて選び、保存先に「Dropbox」を選び、保存します。その他の設定はフォルダーの時と同じなので割愛します。
エラーメールの送信先を入力して、保存します。
スケジュールを設定しましょう。「WordPress cron」を選びます。
サーバーへの負荷にならないようにフォルダーとは違う時間にしておきましょう。
保存内容の設定(「DB」や「ファイル」)はフォルダーと同じくすべてで大丈夫です。フォルダーと同じ設定なので画像は割愛します。
ではDropbox宛の設定をするので「宛先:Dropboxタブ」を選びます。まだ認証できていないため「認証されていません!」と出ています。
Dropboxと連携させるためのコードを貰う必要があるので、Dropboxにログインした状態で、右側にある「Dropboxのアプリ認証コードを取得」をクリックします。
するとこんな画面に変わるので「許可」をクリックします。
認証用コードが表示されるのでこのコードをコピーします。
再びBackWPupの設定画面に戻ってコードを入力し、保存します。
すると「認証済み!」と出ているので、作業は完了です。
Dropbox宛のデータベースのバックアップジョブが出来ました。ファイル用のジョブも作りましょう。その際にはバックアップする時間帯をずらすことを忘れずに。
最後にひとこと
サーバー引っ越しをしようとして初めて、不要なファイルやプラグイン、たまったリビジョンやデータテーブルは定期的にチェックして削除しておいた方が良いと知りました。というわけで、次の記事では私でも簡単に引っ越しできた「All in one Migration」の使い方を解説します。
データの引っ越しをする前に、新サーバーの設定が先でした。というわけで次は新サーバーにおいてドメイン設定する方法の解説です。(間違えてごめんなさい 涙)(2017/6/25 追記)
ここまでお読み下さり、ありがとうございました。