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アクリフーズの農薬混入事件の顛末|製造所固有記号データベースで検索が可能に

マルハニチロ アクリ 高菜ピラフ ニュース考察
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先日紹介したマルハニチロのすべて国産材料の「あおり炒めの焼豚炒飯」が美味しかったので、今度は九州産熟成高菜漬けと国産野菜を使用した「高菜ピラフ」を試食しました。早速感想を述べようと思ったら、製造したのが農薬マラチオン混入事件を引き起こした「アクリ」でした。せっかくなので事件の顛末と新しくなった製造所固有記号制度についても調べました。もちろん感想も。

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嬉しい「おいしいにっぽん国産素材」表記

マルハニチロのあけぼのブランド「あおり炒めの焼豚炒飯」に続いてみつけた「高菜ピラフ」には「おいしいにっぽん国産素材」の表記が記載されていましたので、購入。

ちなみに商品ページはこちらです。

個別記事もあります。詳しくは個別記事「すべて国産素材|アクリフーズの九州産熟成高菜と国産野菜の高菜ピラフ」を参考にどうぞ。

しかし、作っていたのは「アクリ」

「あおり炒めの焼豚炒飯」はマルハニチロの中の「あけぼの」ブランドでしたが、今回紹介する「高菜ピラフ」はマルハニチロの中の「アクリ」ブランドです。紹介するにあたって、はて・・・「アクリ」って何かあったような・・・と調べたら、かつて農薬混入事件を起こしたところでした。

ぶっちゃけ、買った事を一瞬後悔しました。が、あれから数年経っており、もはやそういう事が起こるような事はないと思い直して食べる事に。しかし、これを機会にアクリフーズの起こした農薬混入事件について詳しく調べました。

アクリフーズの農薬マラチオン混入事件の概要

事件が発覚したのは2013年12月29日でした。アクリフーズが製造・販売した冷凍食品から農薬「マラチオン」が検出されたのです。犯人はアクリフーズの契約社員で、動悸は給与体系や人事評価の見直しによる給料低下でした。

逮捕された男が漫画「ワンピース」の「正義」と書かれた海軍の制服のコスプレをしていたのが印象に残っています。どうして「正義」を背負ってそんな事をしちゃったのか・・・すみません。安易な感想で。

「何が起こったのか、どうして起こったのか、これからどうするのか」この農薬混入事件について、マルハニチロが資料を公開しています。その公開されているpdfファイルを読んだ時、大げさですが感動を覚えました。もちろん単なる「反省してるよアピール」かもしれません。

しかし食品を扱う企業にとって「毒物」の混入は倒産に直結します。「毒物」どころか「異物混入」ですら、対応を間違えれば、販売数に影響を与え、倒産の危険性すら生まれます。ちなみに私の記憶にある直近の間違った対応ははごろもフーズです。我が家ではこの会社の商品はすべて不買対象商品になりました。

「食品に何かが混入すること」は、食品会社にとってそれくらい重大な事件です。なので、マルハニチロの公開してる資料にはその気持ちがにじみ出ています。22ページあり、少し多いのですが、流し読みでも十分判る資料なので、是非一度目を通してみてください。

マルハニチロ資料(PDFファイル)

アクリフーズ農薬混入事件

資料を読んでいただきたいのですが、時間のない方も居るでしょう。なので僭越ながらマルハニチロさんの資料から引用しつつ私が解説しておきます。

まずはこの表をご覧下さい。この表を見ればどういう経緯があり、どういう落ち度があったのかが判ります。

マルハニチロ アクリフーズ農薬混入事件の記録 資料1

事件の経緯

詳しい経緯をみていきましょう。

最初の苦情

2013年11月13日、「ミックスピザから石油のような臭いがする」という苦情が入りました。その苦情を受けたアクリフーズ群馬工場の品質保証室が調査に入りますが原因を特定出来ず、11月19日には苦情は累計で5件になっていました。

当時のアクリフーズ群馬工場では9月から11月にかけて改装工事が行われたため、工事由来の何らかの成分混入を疑って調べていたものの、原因を特定できず、「石油の臭いの原因物質」の成分調査をアクリフーズ本社品質保証部に相談しましたが、本社は混入経路調査を優先するように指示。しかし当然混入経路は明らかに出来ず、外部機関に成分調査を依頼したのは12月4日になってしまいました。

最初の苦情からここで約3週間経っています。これが農薬混入の発覚を送らせた一つ目の原因だと思います。

苦情現品から有機溶媒を検出

2013年12月13日、外部機関による検査の結果「エチルベンゼン」、劇物「酢酸エチル」「キシレン」が検出されました。

検出された成分は、農薬や塗料の溶媒にもなっている成分だったため、アクリフーズ群馬工場品質保証室は「改装工事」が原因と見誤ります。そして検出された成分の人体への影響も過小評価してしまい、商品の出荷停止、回収も行いませんでした。

ただし、アクリフーズ本社品質保証部は更なる調査を指導し、農薬成分の検査を命じます。

農薬マラチオン2200ppm検出

苦情現品から農薬マラチオン2200ppmが検出されたのは、2013年12月27日14時10分でした。

この時点でアクリフーズ群馬工場品質保証室は親会社であるマルハニチロホールディングス品質保証部に連絡して、商品の出荷停止、回収を行うべきでしたが、マラチオンの毒性を過小評価していたために行わずに独自で調査を続け、検出当日の16時過ぎにアクリフーズ社長への報告を行いました。

報告を受けたアクリフーズ社長はすぐに商品回収を決めましたが、マラチオンの混入された商品の特定には至っていなかったため、翌日まで持ち越します。マルハニチロホールディングス品質保証部に報告されたのは、12月27日17時30分でした。しかしマルハニチロホールディングス品質保証部はこの件をマルハニチロホールディングス社長には報告しませんでした。

翌日12月28日15時にアクリフーズ緊急対策部会が開催されましたが、混入商品の特定にはいたらず、回収商品の決定には至りませんでした。その間、マルハニチロホールディングス品質保証部はようやく事態を重く見て緊急対策本部を設置し、翌日の12月29日9時30分に、マルハニチロホールディングス社長を本部長にする会議を協議することを決定します。

12月28日19時。さらなる検査結果で農薬マラチオンの混入された商品の名前が明らかになり、この時点でアクリフーズ社長がアクリフーズ群馬工場の製造した全商品の出荷停止、回収を決定しました。

そして12月29日、マルハニチロホールディングス社長を本部長とする緊急対策本部での協議において、アクリフーズ群馬工場の製造した全商品の出荷停止、回収が承認され、その後記者会見が行われました

これは私の主観的な意見ですが、マラチオンが検出されてから2日が経っており、遅い対応だったと思います。というか、マルハニチロホールディングスの社長に伝わるまでに時間が掛かり過ぎです。知らせないように画策した人達がいたのではないかとまで考えてしまいました。(疑い過ぎかしら?)

マラチオンが検出された商品

マラチオンが検出されたのは以下の商品で、いわゆるPB商品(プライベートブランド商品)も含まれていました。しかし対象商品として「商品裏面に、製造者:株式会社アクリフーズ 群馬工場と記載されている全商品」と発表してしまい、製造工場の記載の無いPB商品が漏れてしまうという失態を招きました。これはPB商品の問題点で、法改正が必要なのではないかと私は思います。

  • ミックスピザ3枚入り
  • とろ〜りコーンクリームコロッケ
  • チーズがのび〜る!グラタンコロ!
  • CO・OP照り焼ソースの鶏マヨ!
  • スーパースイートコーンフライ
  • レンジミックスピザ2枚入り
  • みなさまのお墨付きミックスピザ2枚入り
マルハニチロ アクリフーズ農薬混入事件の記録。 資料

マラチオンとは

「マラチオン」がどういう農薬なのかを調べましたが、手元にある広辞苑には「農薬の一種」という程度の説明で、その詳しい毒性については記載されていませんでした。なのでwikipediaより引用します。

マラチオン

マラチオン自体は低毒性であるが、人体への吸収または摂取によって、容易に毒性の強さが増す。

基準値

残留農薬基準値は、小麦、玉葱、カボチャなどで8.0ppm以下。それ以外の作物では0.1〜8.0ppm以下。

一日摂取許容量 (ADI) は、0.3mg/kg[1]。急性参照容量(ドイツ語版)2mg/kg[1]。
中毒症状

有機リン剤に共通なコリンエステラーゼ活性阻害による中毒症状がみられる[1]。

軽症では、吐き気、嘔吐、唾液分泌過多、多量発汗、下痢、腹痛、倦怠感、頭痛[1]。

中等症では、上記に加え、縮瞳、筋線維性攣縮、言語障害、視力減退、徐脈[1]。

重症では、縮瞳、意識混濁、対光反射消失、肺水腫、血圧上昇[1]。

ほとんどの症状は数週間以内に治癒する傾向があるが稀に死に至ることもある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%83%A9%E3%83%81%E3%82%AA%E3%83%B3

この事件で死者が出るような事にならなくて良かったです。

第三者検証委員会の設立、調査の結果

食品への農薬混入というあってはならない事件発生を受けて、マルハニチロは第三者検証委員会を設立し、調査をしました。判りやすい一問一答が公開されているので引用しつつ、補足文と個人的な感想と合わせて挙げておきます。

なぜ、農薬を混入できたのか

Q.
なぜ、農薬を混入できたのか
A.
「従業員による意図的な異物混入」を想定した対策をとっていませんでした。

アクリフーズ群馬工場は外部からの侵入者対策は頑張っていましたが、内部の人間には無防備でした。製造ラインは自由に行き来でき、さらに荷物の持ち込み検査もなく、作業着の下に着ている洋服の規定もなかったのです。他にも非常口以外に出入り出来る場所もあり、いろいろと穴があったのは確かですね。

なぜ、対応が後手に回ったのか

Q.
なぜ、対応が後手に回ったのか
A.
意思決定の権限と責任があいまいで、グループ会社間におけるコミュニケーションが不足していました。

元々アクリフーズは子供が嘔吐したり下痢をして大騒ぎになり、戦後最大の被害者数を出した「雪印集団食中毒事件」の際に、雪印から分離された冷凍食品部門で設立された企業で、2001年にニチロ(現マルハニチロ)に連結子会社として吸収合併された会社です。

元々一つの企業として独立して経営を行っていた事もあり、お互いへの遠慮や同じ会社の人間としての認識が薄かったのではないでしょうか。こういう事例は他にも同じような会社があるのではないかと思います。

なぜ、農薬マラチオンの毒性評価を誤ったのか

Q.
なぜ、農薬マラチオンの毒性評価を誤ったのか
A.
毒性の指標への知識が不足していました。また、社内資料のチェック体制も機能していませんでした。

知識不足。これに尽きるでしょうね。マラチオンの毒性をよく判っていたならば、発覚した瞬間に全品回収に至ったと思うので。

なぜ、商品回収が遅れたのか

Q.
なぜ、商品回収が遅れたのか
A.
消費者重視の視点が欠如していました。また、食品クライシス発生時の商品回収に必要な組織づくりや実践的なシミュレーションを行っていませんでした。

最初の段階で、原因を工場内の改装工事だろうと見誤った事に加えて、「マラチオン」の毒性を理解していなかったことが大きいと思います。そして実際にこういうトラブルが起こった時の対応をどうするべきなのかをしっかり規定していなかったのも問題でした。問い合わせ件数は1日1万件を超える状態になり、スムーズに対応出来ず、結局、行政からの応援を受けるにいたっていました。まさに「想定外」だったのでしょうね。

なぜ、従業員による農薬混入という異常事態が起こったのか

Q.
なぜ、従業員による農薬混入という異常事態が起こったのか
A.
新人事制度の導入に対する不満を受け止めず、また、事件の兆候ともいえる異物混入を不満の表れと見る意識が欠如していました。

犯人は契約社員の男でした。彼は新しい人事制度により賃金が低下して不満を持っていたため、会社に害意を持ったようです。

新しい人事制度は典型的な年功序列制度により定められた給与体系を改めたもので、準社員を5段階評価し、給与に反映させるものでした。結果として賃金が上昇した準社員もいたそうですが、犯人の男はそうではなったのでしょう。「真面目に働いているのに評価されず、給与を減らされた。」と不満を募らせ、犯行に至ったと供述しています。

この新しい人事制度は一見すると良さげですが、評価を付ける班長などが常に現場に居ない状況だったそうで、不透明な部分もあったようです。それに加え、「家族手当」「早出遅出手当」の廃止もあり、実際に賃金が上がったのは準社員の3分の1程度だったと資料に記載されています。

「上がったのが3分の1も居るじゃないか」と言えますが、準社員の平均年収は、2011年317万円だったものが2013年には304万円と、13万円も低下しており、準社員の不平不満は相当なものだったと思います。もちろんその不満を農薬混入で晴らすのは許されませんが。

なぜ、アクリフーズで事件は起きたのか

A.
なぜ、アクリフーズで事件は起きたのか
Q.
独立的な経営路線をとっていたアクリフーズに対して、持株会社が積極的な企業統治を行っていませんでした。

対応が後手に回った理由でも触れましたが、アクリフーズは元々が別会社だったため、マルハニチロホールディングスによる統治がぬるくなったのは間違いなさそうです。しかし「アクリフーズ」の素養に問題があったと思えてなりません。

先述した通り、「アクリフーズ」は戦後最大の食中毒事件「雪印集団食中毒事件」の際に、雪印から分離された冷凍食品部門です。この事件では雪印の当時の社長の「私は寝てないんだ」という発言が大きく取り上げられ、非難されました。実際私も「何逆切れしてんのこのおっさん」とテレビの前で激怒した記憶があります。

こんな発言をする人間がトップだった企業から分離してできた会社。となると「お里が知れる」という印象です。しかも農薬混入が発覚する前にもつまようじや結束バンドなどの「異物混入」があったのにそれを隠蔽していたという話まで出てくる始末でお話になりません。ソースはこちらです。(週刊実話ですが・・・)

第三者検証委員会が絶句… アクリフーズ事件 日本の食の暗部

マルハニチロの旧グループ会社、アクリフーズ(4月1日付で合併=後述)群馬工場を舞台にした冷凍食品への農薬混入事件を検証してきた第三者検証委員会は4月30日、中間報告を公表した。ゴールデンウイークの真っただ中とあって世間の注目度は低かったようだが、そこには同社のみならず、食品業界の暗部をえぐり出す衝撃の事実が記されている。

一連の農薬混入事件は昨年12月の発覚後に自主回収が実施され、今年の1月にアクリフーズ群馬工場の契約社員だった阿部利樹被告が器物損壊、偽計業務妨害罪などで逮捕・起訴されている。ところが、混入のあった時期に「つまようじ、ボールペンのキャップのシール、結束バンド」などの異物が入ったピザが流通し、消費者から計5件の苦情が会社側に寄せられていた。いずれも製造現場では使われておらず、報告書は「意図的に混入させた可能性があるが、原因調査や対策を実施しなかった」と指摘した。要するに会社側は5件の異物混入を「偶然の産物で悪意はない」とみなし、握りつぶしたのである。

後略

週刊実話 2014年5月22日 14時00分 (2014年5月23日 13時34分 更新)

http://www.excite.co.jp/News/society_g/20140522/Weeklyjn_5739.html

アクリフーズが隠蔽していたのだからマルハニチロホールディングスには知ることはできなかったでしょう。しかし「アクリフーズ」はマルハニチロの看板も背負った会社になったのだから、「死なば諸共」だという認識をもってしっかり見張るべきでした。知らなかったでは済まされません。

犯人の契約社員の男への判決

逮捕されたアクリフーズ群馬工場の元契約社員阿部利樹(当時49歳)は、2014年8月14日、懲役3年6ヶ月の有罪判決を言い渡されました。今はまだ塀の中ですが、予定通りなら2018年中には出所してくるでしょう。しかし彼にはマルハニチロが提訴した商品回収に掛かった費用の一部である1億円の損害賠償請求が待ち構えています。給与への不満を会社への迷惑行為で晴らそうとしたツケはあまりに大きいですね。

マルハニチロへの6つの提言

さて。事件を受けて設立された第三者検証委員会は、マルハニチロへ6つの提言を挙げています。

  1. 食品企業としてのミッションの再確認と浸透── 原点への立ち返り
  2. 組織改革── リスク情報を隠ぺいせず、客観的に評価し迅速に対応できる体制
  3. 品質保証機能の強化── 環境・品質保証部が中心となって、各事業部門やグループ各社品質保証担当と連携
  4. 危機管理への備え── 常日頃から危機に備える組織体制
  5. 食品防御── 犯罪行為に対抗できる強力な監視体制や異物混入防止策
  6. PBオーナーとの関係づくり── 回収対象商品にPB商品が含まれることを想定

詳細はpdf資料に記載されていますが、問題が起こらないようにすることだけでなく、起こった時の対応、情報の共有などについての見直しが計られています。これが活かされるよう祈るばかりです。

農薬混入事件がもたらした消費者へのメリット

当該の商品を食べて、嘔吐したり、下痢をしたりした被害者の方は本当に大変だったと思います。しかしこの事件をきっかけに、製造元表記の見直しが検討されはじめました。

PB商品は、「アルファベット」「数字」などの「製造所固有記号」で判別できるという理由で、製造元の記載義務がありませんでした。しかし製造元を記載していなかったために、マラチオンが混入した商品を消費者が判別できないという事態に陥り、「製造元表記」を見直しする流れを起こしました。大変な事件でしたが、恩恵もあったわけです。ソースはこちら。

PB食品の製造者情報 原則表示へ見直し案、消費者庁

消費者庁は17日、スーパーのプライベートブランド(PB)などの加工食品に「製造所固有記号」を付ければ製造者情報の記載を省略できる現行制度を見直し、原則表示とした上で、記号使用を複数の製造所でつくられる商品に限る方針を明らかにした。同日の内閣府消費者委員会の調査会で案を示した。

アクリフーズ群馬工場の農薬混入事件では、回収対象となったPB商品の一部に製造元が群馬工場と記載されておらず、消費者団体が「気付かず食べる危険がある」と問題視した。森雅子消費者行政担当相が制度見直しの検討を表明していた。

製造所固有記号はアルファベットと数字などからなり、現行の食品衛生法に基づく内閣府令は、PB商品などの場合、記号を表示すれば製造者名と所在地を省略できるとしている。行政機関は記号から製造元をたどれるが、消費者が見ただけでは分からない。

見直し案は、製造所が複数にわたる商品のみ、包装のコスト削減につながるとして記号の使用を認めるが、消費者の問い合わせに応じることを業者に義務付ける。今の記号を廃止して新たな記号を導入、データベース化して消費者が検索できる仕組みも検討する。

消費者委は食品表示全体の基準づくりを進めており、夏までに議論を取りまとめる。〔共同〕

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG17019_X10C14A4CR0000/

今から3年前の2014年に見直しされる流れになった「製造元表記」ですが、色々な問題も含んでいました。それはいわゆる「OEM」と言われる「メーカーから委託されて製造する」などの形式の会社が多くあり、全てを明らかにすることはそれらの会社を潰しかねないというのです。見つけたソースはこちら。

(中)「大阪名物」は石川県産…「製造所記号」巡り攻防激化

前略

きっかけは年末年始に世間を騒がせた「アクリフーズ」(現マルハニチロ)群馬工場の冷凍食品農薬混入事件だった。

回収対象となった49品目のうち、プライベートブランド(PB)商品の10品目には「アクリフーズ群馬工場」の記載がなく、一見して分からない固有記号しかなかった。このため「気づかずに食べてしまう」と批判が相次いだ。

事件を受け、消費者庁は製造者情報を「原則表示」とする見直し案を、内閣府消費者委員会の専門部会に提示した。

だが、この案に多数の事業者がかみついた。パブリックコメントでは賛成30件に対し、反対が800件に上った。「土産物の業界で、中小零細事業者が廃業に追い込まれる」見直し反対の意見の一つだ。どういうことか。

JR新大阪駅の売店で土産物を調べてみた。手に取ったどの商品にも「販売者」の記載しかない。社名の横に印字された1、2文字のローマ字が固有記号だろう。

問い合わせると「大阪名物」をうたうスナックは石川県で作られていた。「京都」の漬物は滋賀産。「神戸」を冠した菓子は九州産だった。

実は土産物の食品では、メーカーが販売者から委託を受けるOEM(相手先ブランドによる生産)が珍しくない。風光明媚(めいび)な土地と土産が作られた場所は必ずしもイコールではないわけだ。だが、観光客はそうは思っていない。もし固有記号制度が見直されれば、業界への影響は必至だ。

http://www.sankei.com/west/news/141030/wst1410300005-n1.html

こんなことは全く知りませんでした。でもこういう商品は化粧品雑貨や文房具などで多いと思われます。

はっきり知っているのは鉛筆削りの刃を作っている大阪の会社中島重久堂さんです。以前TBSのがっちりマンデーで紹介されていたのですが、こちらの会社で作った刃は様々なメーカーに卸されており、製造元として存在している会社なのです。

ただこういう?技術に特化した製造会社は良いのでしょうが、お土産となると話は別でしょうね。大阪土産を石川県の人が買って帰ってもそれは石川県で作られていたら・・・複雑な心境ですw

新しい製造所固有記号制度

事件後、製造所表記の義務化を図ろうとしたものの、業界団体からの反対も多くあった事に加え、表記スペースが小さい場合は無理なこともあり、完全な表示義務は課されませんでした。しかし新しいルールは以前より厳しくなり、消費者にも情報公開が進んだものになっています。

以前のルールはこんな感じで、製造所については表示義務は無く、製造所を表す記号を記載することでOKでした。

製造所固有記号 表示 ルール

しかし記号では消費者には判りません。実際アクリフーズの時には「製造元:アクリフーズ群馬工場」という明確な表記のなかったPB商品の発表は遅れてしまいました。

そのため、ルールの改定に進んだのですが、ルールは基本的に表示を義務付けるが、同じ商品を複数の製造所で作っている場合(東京都と大阪府で作っているなど)に使用出来、製造元には問い合わせに応じる義務が生じました。更に、記載されている記号を元に消費者が検索出来るデータベースを作りました。

製造所固有記号 表示 ルール

データーベースで消費者が検索出来るシステムは良いと思います。ちなみにデータベースはこちらで、検索できるようになっています。スマートフォンアプリもあるようで、インストールしておくと外出先でもチェックできますね。素晴らしい。

製造所固有記号制度届出データベース | 消費者庁

試しにちょうど家にあったくらこんの塩昆布で調べてみました。製造所固有記号は賞味期限の横とありました。「Q」とあります。

くらこん 製造固有記号

検索画面で入力します。固有記号は「Q」企業名は「くらこん」で。

製造所固有記号 検索

結果が出ました。我が家のくらこんは宮崎県で作られたものでした。明確ですね!これはいい。消費者庁グッジョブです。

製造固有記号 検索 データベース

「いちいち検索しなきゃいけないの?」と思う人もいるでしょうが、私はとても気に入りました。消費者だって受け身ばかりではいけません。自ら動いて情報を集める姿勢も必要だと思うからです。能動的にいかないと騙されちゃうこともありますからね。

最後にひとこと

事件は過去のことです。今はマルハニチロに吸収されてアクリブランドとなりました。この件を忘れずに美味しい冷凍食品を提供してくれることを信じています。

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