実現が難しすぎる加工食品の原産地表示義務/食品流通の根本的改革が必要か

加工品の原産地表示義務化のニュースが飛び込んできました。非常に良い動きだと思います。しかしはっきりいって完全に表示するのは不可能ですし、義務化に伴った抜け道で今までよりも悪い状況を生むかもしれません。今日は「加工品の原産地表示義務」で想定される問題やその対処、消費者がするべきこと、やれることについて考えます。
加工品の原産地表記義務

スポンサーリンク

「すべての加工品の原産地表示」義務化へ

まずはソースをどうぞ。

すべての加工食品に原産地表示を 検討会に素案

現在は一部にしか義務づけられていない加工食品の原材料の原産地表示について、対象を原則としてすべての加工食品に広げて国の名前を表示するとした消費者庁と農林水産省の素案が、有識者による検討会に示されました。検討会では評価する意見の一方で懸念も出され、引き続き議論することになりました。

この素案は消費者庁と農林水産省が取りまとめ、5日午前、農林水産省で開かれた有識者による検討会に提示しました。

魚の干物やレトルトカレー、トマトケチャップといった加工食品に含まれる原材料の原産地は、現在、一部の品目を除いて表示が義務づけられていません。素案ではその対象を、原則として国内で製造・加工したすべての加工食品に広げ、重量の割合が最も高い原材料について原産の国の名前を表示するよう義務づけるとしています。
原産地が2か国以上ある場合は重量の割合の高い順に表示し、3か国目以降は「その他」と表示できます。

一方、原産地を切り替えるたびに容器や包装の変更が生じるなど、事業者の負担が大きくなる場合は例外として過去の実績に基づいて、使用が見込まれる原産地を表示できるとしているほか、3か国以上の外国を「輸入」とくくって表示できるなどとしています。

加工食品の原産地の表示をめぐっては、消費者団体などが商品の選択に必要な情報だとして実現を求めている一方で、業界団体からは負担が大きくなるといった慎重な意見が出されていました。
5日の会合で、委員からは評価する意見が出る一方で、例外を認めることはかえって消費者の誤解を招くのではないかと懸念する声も出され、検討会は引き続き報告書の取りまとめを目指して議論することになりました。
現状と新ルール案

食品の原産地表示は、野菜や果物などの生鮮食品の場合、国産品は都道府県名、輸入品は原産国の名前を記すことが義務づけられています。
一方、加工食品の原材料については、原産地を表示する義務は一部に限られ、現在、餅や緑茶、こんぶ巻などの22の食品群と農産物の漬物、野菜冷凍食品、うなぎのかば焼き、かつおの削り節の4つの品目が対象になっています。

5日に消費者庁と農林水産省が示した素案では、この対象が原則としてすべての加工食品に広がります。

後略

NHK web NEWS web 10月5日 18時41分

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20161005/k10010718471000.html

前々から加工品の原産地も全て表示してほしいという消費者の意見があり、ようやく前進し始めました。

あくまでも素案段階で決定ではない

メディアで「加工品の原産地表示へ」という内容が流れてきましたが、まだ確定していませんし、例外規定も検討されている段階なので、安心するのはまだ早いですね。

原料原産地表示の義務化はいつから?

かつては原料原産地表示の義務はありませんでした。しかし外国産のものが多く輸入されるようになると同時に、国内で流通する食品、商品等についても消費者の厳しい目線が注がれるようになり、平成12年3月に「原料原産地の表示のあり方」(加工食品の原料原産地表示検討委員会報告)が出され、平成12年12月に原料原産地表示を義務づける品質表示基準が策定されたのです。しかし最初に義務化されたのは、梅干しやらっきょう漬けで、その後、農産物や漬け物、うなぎの蒲焼きなどの8品目だけでした。

平成29年9月1日から新制度開始(2017/9/5 追記)

平成29年9月1日から新しい「加工食品の原料原産地制度」が施行されました。4年掛けて完全施行を目指します。しかし抜け穴だらけです。詳細は当該記事をお読み下さい。

抜け穴だらけの新しい「加工品の原料原産地表示制度」の問題点と注意するポイント

原料原産地表示義務化の後押しの背景

食に関して厳しい日本人は前々から「原料原産地」の表示をしてほしいと訴えていましたが、その動きは鈍いものでした。しかしTPP(環太平洋戦略的経済連携協定/Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)参加によってその動きが早くなりました。というのも、海外から入ってくるであろう安価な作物、食料などに対抗するために、自国の農産物等を守る必要性が生じたからです。

そもそも日本人は日本産、日本製、国産品への強い愛着を持っています。となれば、表示しておけば私のように「日本産」「国産」を選んで購入する人も多いと想定され、この事が国内農業、国内産業の保護に繋がります。

TPPのメリットとデメリット

TPPとは「参加国内での関税を撤廃して円滑な貿易を出来るようにする」というのが大まかな内容です。食品だけでなく、サービス、医療などの分野もありますが、ここでは食品に絞って考えます。詳しく知りたい方は、外務省のページへどうぞ。

環太平洋パートナーシップ(TPP)協定とは,オーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,日本,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,ペルー,シンガポール,米国及びベトナムの合計12か国で高い水準の,野心的で,包括的な,バランスの取れた協定を目指し交渉が進められてきた経済連携協定です。2015年10月のアトランタ閣僚会合において,大筋合意に至りました。今後,各国と連携しつつ,協定の早期署名・発効を目指していきます。

環太平洋パートナーシップ(TPP)協定交渉

TPPと聞くだけでアレルギーを起こす人もいますが、消費者にとっては良い変化もあるのです。とは言え、悪い変化も想定されます。ここで少しだけそのメリットとデメリットについて触れておきます。

TPPのメリット

TPPは、参加していない国の商品、食品、農産物には関税が掛かるため、自ずと参加国以外の輸入量が減る、あるいは輸入がなくなると思われます。現在、TPPに参加しているのは、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、米国及びベトナムの12か国ですから、参加していない中国や韓国の農作物は自ずと減っていくと思われます。これはかなりのメリットだと私は思っています。

TPPのデメリット

TPPは「交渉相手によって自国有利なルールを押し付けられる」とよく耳にします。とは言え、それは日本も同様に守りたいものがあり、現在も懸命に交渉をしています。

食品分野において実際に戦っているのは、「遺伝子組み換え」材料の表示義務についてです。アメリカには表示義務はありません。しかしオーストラリアや日本、ニュージーランドでは表示義務があります。アメリカとしては遺伝子組み換え材料を使ったものが沢山流通しているため、それを売りつけたいのでしょうが、義務化している国々で連携し、それを許しませんでした。

TPPと遺伝子組み換え食品

前略

3.遺伝子組み換え食品については、どうでしょうか?
 TPP交渉で遺伝子組み換え食品についての規制が緩和・撤廃されるのではないかという主張があります。まず、どの国も安全性が確認された遺伝子組み換え食品しか流通を認めていません。各国で規制が異なるのは、安全だとして流通を認めた遺伝子組み換え食品についても表示の義務付けを要求するかどうかです。(なお、この表示は安全性が確認された食品についてのものなので、食品の安全に関するSPS協定ではなく、WTOの別の一般的な協定(TBT協定、ガット)が適用になるかもしれませんが、TBT協定でも国際基準への調和などを規定しています。)
 アメリカはそのような表示は全く不要であるという立場です。日本は、豆腐など遺伝子組み換え大豆のDNAやたんぱく質が食品中に残存する製品についてのみ、遺伝子組み換え農産物を使用したという表示を義務付けています。これに対してEUでは、豆腐などの製品だけでなく、しょう油などのDNAなどが残存しない製品についても、表示を要求しています。これは製品を調べただけでは表示が正しいかどうか検証できないので、遺伝子組み換え農産物とそうでない農産物について、すべての流通段階で分別、区分けすることを義務づけるしかありません。アメリカがEUの表示規制に反対するのは、このために膨大なコストがかかり、安全性が確認された遺伝子組み換え食品の流通が事実上禁止されてしまうからです。
 これはコーデックス委員会で議論されましたが、各国の立場が異なり、国際的な基準を合意できませんでした。日本の表示規制については合理性があると判断されますし、豪州、ニュージーランドもアメリカのような表示制度には反対の立場です。実は、2002年APECの貿易大臣会合でアメリカがEUの規制はおかしいとAPECの全貿易大臣からEUに申し入れをしようとしました。当時担当者だった私は、日本の規制に影響が出かねないと判断して、豪州、ニュージーランドにも働きかけて、この試みを潰しました。TPP交渉で、日本の規制が見直されるとは考えられません。これにかぎらず、TPPに反対する人たちの中には、医療や地方の公共事業などで、一方的にアメリカの制度や要求が押しつけられるという主張が目立ちます。しかし、これまでの日米2国間の協議と異なり、TPP交渉のような多国間の交渉では、それ以外の国と問題ごとに連携することができますし、協定とは双方が共通の義務を負うので自らが要求したことは自らの義務として跳ね返ってきますから、いくらアメリカでも自分の主張を押しつけることはできないのです。

キャノングローバル戦略研究所
NHK第一ラジオあさいちばん「ビジネス展望」 研究主幹:山下一仁(2011年11月1日放送原稿)

ともすればアメリカに屈しがちな日本ですが、ちゃんと戦っていました。しかし、今後はどうなるのかわかりません。それに多国間協議で他国と連携して戦えても、二国間協議になればアメリカにごり押しされて負けてしまう可能性があるからです。かつての「賞味期限」「製造年月日」記載の時にもアメリカに敗れました。

米国の圧力で脅かされる食の安全…消えた製造年月日、遺伝子組み換え食品が判別不能に

前略

消えた製造年月日表示

 日本の食品表示制度は、たびたび米国を中心とする外圧で変遷を遂げてきた。その最たるものが、製造年月日表示の廃止と消費期限または賞味期限表示の導入であった。製造年月日表示は戦後直後から導入され、消費者は製造年月日を見て食品を選択してきた。

 これに対して圧力をかけてきたのが、米国政府であった。米国政府は日米構造協議の場で、製造年月日表示では米国から輸出される食品が輸送期間が長いため、日本の店頭に並べられた時に製造年月日が日本の食品より古いことが明確になり、売れ行きに影響が出るとして、賞味期限表示に変更することを要求したのである。そして1995年4月、日本政府は国民の間で定着していた製造年月日表示を廃止して、消費期限または賞味期限表示に変更することを決めたのである。

ビジネスジャーナル:2016年09月15日 06時12分

https://news.nifty.com/article/item/neta/12111-27189/

アメリカを牛耳る多国籍企業は自社の利益を追求するならなんでもやりますから(そう思っています)「ISDN条項」で「日本の遺伝子組み換え表示がアメリカ産の農作物を不当に売らせないように妨害している」などと訴えてくるのではないかと思っています。よって、今後も「遺伝子組み換え表示」が維持されるのかどうしても不安は拭えません。

このように、TPPのデメリットは「相手国」の利益を押し付けられてしまう可能性があることが最大のデメリットと言えるでしょう。とは言え、国や企業の力が強大でも消費者の声が大きくなれば無視できません。アメリカでも「遺伝子組み換え食品」を確認できるようになりました。

遺伝子組み換え食品の表示をめぐる戦いは、アメリカで熱い!

消費者は自分が口にする食べ物が遺伝子組み換え(GM)食品であるかどうかを知りたいと思っても、その実態はほとんど知りえない。現状では日本も含め、世界で64カ国が表示義務を課してしるものの、その表示の方針やレベル、方法は世界各国で大きく異なる。

 規制の厳しいEU(欧州連合)では、基本的に遺伝子組み換え技術を用いている食品はすべて表示の義務があり、表示が免除される偶然の混入率は、0.9%未満と非常に厳しい。しょう油や食用油などDNAやタンパク質の検出しにくいものの表示についても、表示義務の対象となり、「遺伝子組み換え」または「遺伝子組み換え由来」と表示しなければならない。

中略

GM食品メーカーが膨大な予算を使い表示義務を回避

さて、遺伝子組み換え食品の一大供給国である米国の場合はどうか?

米国にはGM食品の表示の義務がないため、消費者は自分が本当は何を食べているのかを知るすべが無いのだ。

中略

実は、アメリカの中でも環境や政治参加への意識が高いとされるカルフォルニア州で、2012年11月、GM食品の表示を求める住民投票(Prop.37)が実施され、僅差で表示法案が否決された。

ほとんどの国民が表示の義務化を望んでいるにもかかわらず、なぜ住民投票で否決されるのか? 事前のアンケート調査では表示賛成派が圧倒的多数だったとされているが、反対派が莫大な資金を投じてメディアや住民の決定を覆したとされている。
 
 もちろんこの反対派とは、筆頭がモンサント社で、そのほかにもデュポン、ペプシコ、コカ・コーラなど遺伝子組み換え食品を生産・供給する側だ。このときキャンペーンには約46億円が投じられ、一方で、消費者側のキャンペーの資金は約9億円だったとされている。

“カネに物言わせて”はどこの国のどこも案件でも大して変わらないということか。しかし、このカリフォルニア州の住民投票で明確になった巨大企業による消費者無視の態度は、表示義務化を求める運動を全米へと拡大させ加速させることになる。
 
 ニューヨーク、マサチューセッツ、コロラド、コネチカット、フロリダ、ハワイ、イリノイ、ニューハンプシャー、ペンシルベニア、ミネソタ、ニュージャージー、ニューメキシコなど全米30州以上で、表示義務化を求める運動や法案提出が相次いだ。しかしそのつど、GM食品の生産・供給勢力は、莫大な資金に物を言わせ、政治力を行使し、表示を求める運動の弱体化や法案の撤回、審議の中断、見送りなどを勝ち取ってきた。
 ところが、2014年4月、バーモント州で表示義務化法案が州議会を通過、全米で初めて消費者側が勝利することとなった。奇跡とまで言われるこの法律の施行は2016年7月。この間に生産・供給側の企業は、この法案を無効にする連邦法の制定を画策しているといわれる。まだまだ表示義務を廻る戦いは続いていく。

後略

ヘルスプレス:2015.06.11

アメリカの消費者も戦っているので、日本の食に関する厳しい消費者と共闘すれば、強大なメーカーとも渡り合えるのではないでしょうか。アメリカにおける「遺伝子組み換え食品の表示義務化」は消費者の声は決して弱くない証拠だと思います。

原産地表示義務化問題の現状

TPPの問題はさておき、原料原産地表示義務化は正しい方向だと思います。しかし義務化に動き始めた当初は、対象商品が少ない上、どれが対象品なのか消費者にも販売者にも判り難いという不満が出る法律でした。更に、原料原産地ではなく加工地を表示するといった悪質な事例も発生し問題になりました。その問題を解決するため、平成16年9月に品質についての改正が行われましたが、やはりまだまだ対象商品が少なかったのです。原料原産地の表示義務対象商品は、平成18年10月から20の食品群に更に拡大されました。続いて平成23年3月に原料原産地表示の対象にも対象食品が追加されています。しかしそれでも全ての商品に表示義務が課されたわけではありませんでした。

判りやすい例に「お刺身」があります。まぐろ等一種類だけの商品であれば「台湾産」、サーモンだけなら「チリ産」などと明確に書かれています。しかしまぐろとサーモンが一緒に入っていれば加工品扱いになり、原料原産地表示義務から外れてしまいます。現在のところ、この点が一番大きな問題でしょう。とは言え、今回の「加工品の原産地表示義務」が実現すれば、お刺身の盛り合わせも確認できるようになるはずです。これは嬉しい。

原料原産地表示義務化に立ちふさがる問題

全ての原料原産地を記載してくれる姿勢は消費者として非常に嬉しい動きです。今回の提案は、当該の加工品の重量の比率で一番大きい国から順に表記し、3番目からは略せるといったもので、これは十中八九実現しそうです。しかし完璧ではありません。というのも、様々な問題があるからです。

海外から輸入される原産地不明な加工品

加工品は様々な原料を元に作られている場合が多く、輸入加工品が材料として使われていることもあります。そこで、海外の原料原産地表示がどうなっているのか調べました。消費者庁、農林水産庁の公開している「海外の原料原産地表示制度(平成28年3月31日)」によると、原料原産地の表示義務は、国によって全く違っており、表示義務が無いのが一般的なようです。

海外の原料原産地表示制度

ご覧の通り、韓国にはほぼ全ての表示義務があるそうです。これは意外でした。とは言え、記載されている表示が信用出来ないという根本的な問題はありますね。良いルールだけに残念です。オーストラリアは「生産、製造又は包装された国の名前を明記することが義務」とされています。EUは、オリーブオイルと有機食品以外は原料原産地の表示義務は無しでした。そしてアメリカに至っては、原料原産地の表示義務は無いとされています。

これで判るのは海外から輸入された加工品を材料にするともうどこの国の原材料を使っているのか把握できない事です。

ここで「デミグラスソース」で考えてみましょう。「デミグラスソース」とは「百科事典マイペディア」によると「西洋料理で使われる基本的なソースの一つ。ブラウンソースともいい、茶色くてとろりとしている。デミはフランス語で半分、グラスは濃縮肉汁の意。牛すね肉とニンジン、タマネギ、セロリを大きめに切り、油でよく炒め、コムギ粉を振り入れて茶色く色づくまでさらに炒める。茶色いフォンドボー(行使の肉や骨でとっただし)を注ぎ入れ、トマトペーストとブーケガルニも加え、あくをすくいながら2時間ほど煮詰めてこすと、コムギ粉によるとろみのついた濃いソースができあがる。」ものです。

このように「デミグラスソース」は様々な材料を元に作られるわけですが、材料が問題となります。例えば、原料原産地表示義務の無い国で生産された「トマトペースト」を使えばもう有耶無耶になります。ひょっとすると中国で作られたトマトが原材料のトマトペーストかもしれません。しかし表示されていないので判りません。

表示ラベル製造のコスト

他にも問題はあります。例えば、複数の多種多様な原材料を使った野菜ジュースを作る時、その原産地は相当な数になるでしょう。いつも同じ生産地の野菜、果物を使えたら問題はありませんが、天候に左右される農作物の収穫量にはばらつきがあるのが当然です。

となると、先月は「スペイン産」のトマトだったけど、今月は「イタリア産」になってしまった。という事態が想定されます。こうなると表示ラベルの記載内容を変更しなくてはなりません。その分余計なコストが発生するのです。結果として、商品価格の上昇を招く事になるかもしれません。消費者にとってはマイナス材料です。

偽装表示

原料原産地の表示義務を課しても、違反行為は後を絶ちません。当サイトでも「鳴門わかめ」や「オリーブオイル」、「大山都どり」などの沢山の食品偽装事例を取り上げてきました。こういった偽装を監視するコストや時間も更にかかることになるでしょう。問題解決は簡単ではないのです。

っていうか、偽装ありきで考えるべきかもしれません。残念なことです。

重量比率3番目以降の原産国

正直言って避けたい国があります。それが当サイトでその危険性を訴えている中国産、韓国産の食品です。しかし重量比率が低く、三番目以降であれば「その他」表記が可能になる流れです。となると「中国産」「韓国産」が含まれてても判らなくなるかもしれません。これはあまり好ましい事ではないですね。

様々な問題への対処法

先述した問題への対策として、様々な方法が提案、検討されています。しかしかなり難しく「それじゃ意味が無い」「消費者が勘違いする」という意見が出ており、私も同意します。

「可能性国」の表示

野菜ジュースの原料など、原料原産地がころころ変わる可能性が高い加工品の場合「一番可能性の高い産地」を記載する「可能性国」表示が提案されています。

しかしこの方法は加工された原材料には対処できません。とは言え、他国の原料原産地表示のルールは日本からどうこうできません。これが「原料原産地表示義務」の実現は無理じゃないかと私が思う最大の根拠です。

「大くくり」の表示

これは、当該の加工品の原材料が沢山ある場合や表示ラベルに書ききれない場合、原産地がころころ変わる場合に対応するために「輸入」「国産」と言った大まかな表記にしても良いという提案です。

これは大まかすぎだと思います。もしその加工品の原材料に「輸入」と「国産」の両方を使ったら「原材料:輸入、国産」と表記されることになると思われます。意味不明です。なんじゃこれです。それに「輸入」だけであれば「中国産」や「韓国産」でも「輸入」です。この方法は間違いなく悪用されるようになるでしょうから、個人的には断固反対です。

「加工地」の表示

これはその加工品がどこで作られたかの表示です。

加工地表記の問題は以前から出ています。例えば、中国産のキャベツ、韓国産の豚肉を使って作られた「餃子」を「加工地:日本」として売られると日本産、日本製だと思っちゃいそうです。

とは言え、悪い表記ではありません。というのも、先に例として出した「デミグラスソース」の原材料問題の場合、表記に「タマネギ(日本)、ニンジン(日本)、トマトペースト(加工地:スペイン)」と言った具合に表示する流れになるかもしれません。加工地と原産地が混在しますが、判る事が重要なので良いと思います。原料原産地の表示義務の無い国に対してはこれくらいしか対応できません。結局、どこの国の原材料かは不明ですが、作った国が明らかなだけでも良しとするべきでしょう。

メーカーと消費者のできること、するべきこと

かつては「原料原産地表記」義務はありませんでした。しかし義務づけようと動き始め、一部ではありますが、実現しています。これは消費者の声が伝わった結果です。今後、遺伝子組み換え野菜の輸入を防げるか、その表記義務を守れるかは、その声をどれだけ大きくできるかにかかっているのではないでしょうか。ただし、完璧な表示を求めるのは無理がありますから、そこはメーカーと消費者側でお互いに努力が必要でしょう。

業界団体に望むこと

今回議論されている「原産地表記義務」において実際にどう表記するかは、加工食品を作っているメーカーの努力に委ねられると思いますし、委ねるべきだと思います。ただ、その加工品の原産地が調べれば判るようにしてほしいのです。

実際、メーカーによって、HPに行くと全ての原材料の原産地情報を公開している場合が増えています。しかしパソコンでアクセスしなければ判らないは面倒なので、例えばバーコードやQRコードをかざせば、その場で全ての原材料に関する情報を確認できるようにするのも一つの手段でしょう。

それにこれが実現すれば「廃棄ロス」も改善するはずです。というのも、全ての商品の加工品情報を明らかにできるようにするには、人では無理なので、全てIT技術による管理に変わります。そうすれば、季節ごとの需要、天候による需要変化などの情報を全て予測できるようになるはずです。そうすれば食品廃棄は劇的に減るはずです。流通の大改革になるでしょうが、その恩恵は大きいはず、是非頑張って実現して欲しいなと個人的に思います。

消費者がするべき事

上記の流通改革が起こり、「バーコードやQRコードでしか確認できなくなったらどうするんだ!」という心配もあります。それにスマホがない方も居るでしょう。実際私もスマホ持ってませんから確認できなくなる側です。しかし私なら、バーコードやQRコードでの表示のみになった商品を買わないだけです。だって確認できないんですから、「売る気がない」と思うので。そこをどう考えるかはメーカー次第でしょう。そういう消費者を切る権利はメーカーにありますし、その結果どうなるかはメーカーが受け止める事です。売り上げが落ちてもそれはメーカーの責任です。

ただし、そういう場合に備えて出来る事があるはずです。例えば、販売店にバーコードやQRコードの情報を確認出来る端末を設置することです。全てのお店にそういった機材を設置するのは難しいでしょうが、消費者が確認できるかどうかが問題です。気にしない方は確認出来ない店で、気にする方は確認できる店で購入すれば良いだけです。

「スマホやパソコンを持ってない人が置き去りになる!差別だ!」などと怒りの声を上げる人も出るかもしれません。しかし、コストの掛かるであろう情報確認機材の設置や原産地表記の完璧な表示を全てのメーカーや販売店に強いる事は出来ません。何でもそうですが、「できること」「できないこと」「やりたくてもできないこと」がありますから、その状況にどう折り合いをつけるかは自分で考え、判断するべきことでしょう。

安いお店で原産地の確認ができない時、確認できるお店で情報をチェックして、再び安いお店に戻って買う。移動時間や手間がかかりますが、出来ない事ではありません。スマホを持っていない私は多分この方法で対処することになると思います。

販売店やメーカーで時間とコスト、手間をかけて原産地表記、原産地情報の公開をしているのだから、それを調べる努力くらいは消費者側でしても良い事ではないでしょうか。手取り足取り全てを望むのは少々我がままが過ぎると思うのです。消費者にだって努力は必要です。

最後にひとこと

長々と述べて来て思った事は、食の安全を守るのは簡単ではないということです。安全なものを、美味しい物を食べたいならば、国だよりではなく、消費者自身も能動的に動いて行く必要があると思いました。

例えば、普段お世話になっている農家さんや漁師さん、そして近所のお店にも「美味しかった」「美味しい野菜とお魚をお願いします」「この野菜の生産地はどこ?」と伝えたり聞いたりすることです。頻繁に生産地を聞かれれば返答する手間を省くために、お店も動くでしょう。現在野菜や果物の生産地をポップで「鹿児島産さつまいも」などと書いてあるもその一つです。加工品についても問い合わせが増えればそのうち「ポップ」で細かく表示してくれるようになるかもしれません。消費者の声が大切なのです。

ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

スポンサーリンク

新しい記事を公開するとツイートしています。

フォローする

関連するかもしれない記事