お門違いなJA京都の調査|産地偽装なんだから第三者による同位体検査をするべき

日本人の主食と言えば、お米です。私も毎日食べています。しかしそのお米の「偽装疑惑」が報じられました。なんと「魚沼産コシヒカリ」として売られているのに「中国産米」が検出されたというのです。更に「滋賀県産コシヒカリ」から他府県産のコシヒカリが検出されている疑いも指摘されています。しかし指摘された米卸会社の京山(きょうざん)は否定しており、その疑惑はまだ解明されていません。調査結果が要注目のニュースです。
米偽装 中国産米

スポンサーリンク

Contents

この記事の概要

はっきり言って、この記事は非常に長いものです。なので全て読まない人も居るでしょう。それは良くない事なので最低限抑えるべき点を記載しておきます。

2017/3/16時点で判っていること

週刊ダイヤモンドの主張
「同位体研究所に鑑定してもらったら、京山のお米には中国産米が混ざっていた。魚沼産こしひかりに他府県産コシヒカリが混ざっていた」

京山(JA京都)の主張
「日本穀物検定協会に鑑定してもらった結果、全て日本産だった」

真っ向から対立した結果になっています。ただし、京山の鑑定に出したお米は「京山が保管していたキープサンプル米と小売店から買い戻したお米」なので、京山が信用できないから結果も信用できないという判断もできます。せめて第三者が採取して保管していたキープサンプル米だったらなあと思います。(これはあくまでも私の主観的な意見です)

日本穀物検定協会の鑑定結果を受けて、京山は「同位体研究所」に質問状を送っていますが、回答、反応はまだです。週刊ダイヤモンドの反応もまだです。今後、二つの鑑定結果を元にどういう展開を迎えるか要注目です。

2017/5/9時点で判っていること

今日、お米の偽装に関わる別のニュースが飛び込んできました。それは、新潟県が独自で行っている「新潟コシヒカリ」のDNA検査の結果、なんと9.6%も他の品種が混入していたというものです。ソースをどうぞ。

DNA検査
新潟コシヒカリ、9.6%に他品種混入 新潟

新潟県は8日、「新潟県産コシヒカリ」として2016年度に全国販売された米のDNA検査を行ったところ、少なくとも9.6%の商品で県産コシヒカリ以外の品種が混入していたと発表した。2018年の減反廃止を見据え産地間のブランド米競争が激しさを増す中、県産米の信用を損ねる結果に県は警戒感を強めている。

後略(有料記事です)

お米に他品種が混入することは5%まで認められています。それは土や機材に残っている種が田んぼに撒かれてしまうこともありますし、精米機などの機械に別品種が残っていることもあるからです。しかし今回の報道では「9.6%」という高い数字が出ています。これは明らかに混ぜられていると私は思いました。

未だにこういう偽装が行われているのですから、京山の問題は氷山の一角なのでしょう。ただ、京山の偽装の件は、それぞれの鑑定結果が対立しているため、まだ「京山が偽装した!!」と言い切れません。

この新潟コシヒカリの他品種混入のニュースが報道されたため、このページへのアクセスが突如増えました。びっくりした私は、久しぶりにJA京都の新たな動きもチェックしてみたところ、裁判も開始されていました。その事にも触れつつ、現在の状況に触れておきます。

週刊ダイヤモンドと京山(JA京都)との主張は相変わらず真っ向から対立したままです。そしてついに4/15に裁判が開始されていました。しかし、報告書を読んでみたところ、裁判には週刊ダイヤモンド側は誰も出席しなかったそうです。どういうつもりでしょうか。ありえない対応だと私は思います。

そして注目すべき京山側の動きとして、週刊ダイヤモンドが取り上げた「滋賀コシヒカリ」と「魚沼産コシヒカリ」を元最高検察庁検察官の川端伸也弁護士立ち会いの元、週刊ダイヤモンド側が依頼した同位体研究所に同じく鑑定依頼をしたところ、全て国産、他品種の混入は無いという結果でした。

同じ会社に出した鑑定結果が相反するものになっています。これはどういうことでしょうか。こういう事になると判っていたから週刊ダイヤモンドは裁判に出てこないのかと思ってしまいます。

週刊ダイヤモンドが報道に確固たる自身を持っているなら、裁判に出て主張すべきです。出てこないのはアンフェアです。

詳しくはここから下に続いている記事をお読みください。

「JAのコメ」に産地偽装の疑い、魚沼産に中国産混入

きっかけは、「週刊ダイヤモンド」2017/2/18号のスクープです。まずはソースをどうぞ。ネット上には「ダイヤモンドオンライン」があるのでこちらを引用します。私は710円で当該雑誌を購入してきました。

「JAのコメ」に産地偽装の疑い、魚沼産に中国産混入

「週刊ダイヤモンド」はJAグループ京都の米卸が販売するコメの産地判別検査を実施した。その結果、「滋賀産」や「魚沼産」として販売されていたコメに中国産が混入している疑いがあることが分かった。(週刊ダイヤモンド2017年2月18日号特集「儲かる農業」より)

JAグループ京都の米卸「京山(きょうざん)」が販売する複数のコメに産地偽装の疑いがあることが本誌の調べで分かった。専門の検査機関に産地判別を依頼したところ、「滋賀産」や「魚沼産」として売られていたコメに中国産が混入しているとの結果が出たのだ。

後略

週刊ダイヤモンド独自で、JAグループ京都の米卸「京山」が精米・販売したコシヒカリ4袋を「京都ひがしやまいちば楽天市場」で購入して、「同位体検査」をしたところ、中国産米が検出されたという内容です。

週刊ダイヤモンド 2017/2/18号より 米偽装疑惑

記事では「滋賀こしひかり」は10粒中6粒が中国産、「京都丹後こしひかり」は10粒中3粒が中国産、「魚沼産こしひかり」は10粒中4粒が中国産、「新潟産こしひかり」は10粒中10粒国産という結果が出たとされています。

ちなみに同位体検査を行ったのは「同位体研究所」です。

コメ産地判別検査の改訂(ブレンド米の混入率検査を実施)

同位体研究所は、2009年以来5年間にわたり全国各地・中国等の海外産地のコメデータの集積を進めてきました。この安定同位体比データベースによるコメの産地判別検査は、産地混合、特定産地の同定などさまざまな産地判別検査として実施されてきました。 分析の基本は、5粒のコメを粉砕混合した分析試料を複数分析した結果による判別としておりましたが、従来特殊な検査としてのみ実施していた10粒検査による低濃度混合の検査を、一般検査に導入する事と致しました。 新たな検査法は、5粒混合並列及び10粒個別分析となります。 従来法は、50%を超えるような国産・外国産コメの混合を想定しておりましたが、30−40%水準の混合品においても外国産コメの混合を可能としました。本分析検査は、10月5日より実施されています。
国産・外国産の判別においては、米国・中国・豪州の他、ベトナム・パキスタン・タイ・イタリアなど数多くの産地判別に対応。 国内においても、有力産地のデータベースを構築し、米の安定同位体比データは、5,000件を超える規模と国内で随一の規模を誇ります。

同位体研究所

これが事実ならかなりショックです。何故中国産のお米が紛れているのか。許せません。

「週刊ダイヤモンド」2017/2/18号のスクープ報道後、大手メディアも報じ始めました。そのソースです。

農水省、中国産米混入報道で京都の卸売会社を検査

全国農業協同組合連合会京都府本部(JA全農京都)などが出資する京都市のコメ卸売会社が国産米として販売したコメに、中国産米が混入している疑いがあるとの週刊ダイヤモンドの報道を受け、農林水産省は事実関係を確かめるため、立ち入り検査を始めた。山本有二農相が14日の閣議後の記者会見で明らかにした。

 卸売会社側は「産地偽装を行い、中国産米を混ぜたコメを国産米として販売したことはなく、記事は事実と異なる。速やかに刑事告訴し、損害賠償などを求める訴訟も起こす」としている。立ち入り検査は、近畿農政局と京都府が13日から実施。山本農相は会見で「農政局の調査をしっかりと見守り、正確な事実の把握をしたい」と述べた。

産經新聞:2017/2/14 11:31

何度も申し上げますが、まだ偽装疑惑です。当該の卸売会社である京山も否定しているため、どこが偽装したのか確定していません。

米卸会社「京山」は刑事告訴へ

今回の週刊ダイヤモンドのスクープ報道後、すぐに反応がありました。京山は全面的に否定しています。

詳しい事はこちらの反論を読んでみて下さい。

http://www.kyozan.co.jp/pdf/news20170213_1.pdf

内容をざっとまとめると、「現在、当社では輸入米を扱っていない」「外国産米は過去において扱っていたが、それは輸入国で袋詰めされたもの」「当社の精米工場に入荷されることもないため、混入するはずがない」「検査結果が信用出来ない」といった内容です。そして今農林水産省へ調査依頼をしているそうです。

京山の言い分を全面的に信用するならば何故「中国産米」だと検査結果が出されたのでしょうか?鑑定した研究所の精度に問題があるのか、あるいは結果は正しくて、京山以外で混入されたのか。これは有耶無耶にせず解明してほしい。

農林水産省の対応

今回の件が発覚後、農林水産省も動いています。ただまだその結果は出ていません。

山本農林水産大臣記者会見
平成29年2月17日(金曜日)8時57分~9時03分 於:本省会見室

一部抜粋

記者
あともう1点ですね、京都のコメ卸売会社についてですね、コメの産地を偽装しているのではないかという一部報道がありますけれども、改めて、調査の進捗を教えていただけますでしょうか。

大臣
2月10日から当該コメ卸売業者に対して立入検査を開始しております。現在も、立入検査を継続中でございまして、コメの出入り等の事実関係、これを徹底的に調査をしているところでございます。この見通しでありますが、事実関係を徹底的に調査をするということに専念をしておりまして、いつ頃までに調査を終える、あるいはできるというようなことについては、現時点で見通すことが困難であると考えております。むしろ、明らかにするべきこと、そしてできるだけそれを早く解明すること、こういう考え方の決意を持って臨んでいくという以外に現在考えておりません。

記者
改めてになってしまうんですが、先日の農林水産委員会でも念入りな検査には時間が必要であるという一方で、早期に結論を出すことの重要性というのを指摘されたかと思うんですが、例えば、中間報告の形で期限を切って報告するとか、そういったことはお考えありますでしょうか。

大臣
この事実関係の調査でありますので、中間報告ができるようなそういう性質のものではないと思っております。今の行政調査がどういう展開になるのか、これをしっかり見極めながら事実を徹底的に明らかにするということが、今、大事でございまして、中間報告というものは考えておりません。

報道官
他に。

記者
京山以外にですね、調査の対象を広げるというお考えはありますか。

大臣
この京山の事実が明らかになった上で他の卸売業者のことが語られることになろうと思います。したがいまして京山の案件の偽装という疑い、これがしっかり事実関係が明らかになるまでむしろ他の調査をするというには、よほどの疑惑とかあるいは証拠、そういうものがない限りは京山に集中させていただきたいというように思っております。

動画もあります。

JA京都の動き

週刊ダイヤモンドの報道を受けて、JA京都も動き、特設サイトを開設しています。
こちらのページにおいて、JA独自の調査結果を公開していくようです。2017年2月20日現在、中間報告の第3弾まで公開されています。詳しい事はJAさんへ移動して読んでみてください。当サイトでは読んだ内容を簡素にまとめたものを記載します。

2017/2/15

JA京都は、今回の報道に対して、京都地方裁判所に訴訟提起しました。その内容はこんな感じです。

  1. 損害賠償額:3300万円
  2. 謝罪広告の掲載(webと雑誌)
  3. 週刊ダイヤモンド2017/2/18号のweb掲載部分の削除
  4. 訴訟費用の負担

となっていました。詳しい内容はJA京都さんでご覧下さい。

2017/2/17の動き

JA京都はまず京山の保有倉庫3つと事務所に立ち入り調査をしています。結果は「現在、中国産米の保有はなし」だったそうです。

更に、雑誌で名の挙がったお米について「証憑書(しょうひょうしょ)」の調査も開始しています。(証憑とは事実を証明する証拠。根拠。 広辞苑より)
詳しいことはこちらをご覧下さい。

2017/2/18の動き

JA京都は京山の保有米の管理(保有・出庫)を一部委託している営業先への調査をしました。結果は「中国産米の保有無し」だったそうです。

過去5年間の中国産米の保有についても調べていますが、2014年、2015年、2016年には中国産米を扱っていない事が判明しています。ただ、2012年と2013年には取り扱いしていました。

取り扱いしていた中国産米は「精米」されたもので、小分けに包装して、年度内に全て販売を終えているそうです。販売先については調査中とのこと。
詳しい事はこちらで。検査をしている人の名簿や調査中の写真も公開されています。

2017/2/19の動き

この日は監査士11名と事務スタッフ8名で、週刊ダイヤモンドであげられたお米「新潟産こしひかり」「魚沼産こしひかり」「京都丹後こしひかり」「滋賀県産こしひかり」の平成28年度の売上伝票と販売先等の突き合わせチェックを行っているそうです。

詳しい事はこちらで

2017/2/20の動き

この日も「週刊ダイヤモンド」で掲載されたお米の伝票調査をなさっています。そして「週刊ダイヤモンド」が発売されてからの「売り上げ減少」状態も公開されていました。

いつになったら独自の「同位体検査」をするのかと思っていたるのですが、この日もしていません。しないつもりなんですかね。

2017/2/21の動き

この日のJA京都さんは総勢46名で伝票などの調査、そしてSBS米として輸入された中国産米の行方について新たに調べ始めていました。詳しい事は公開されている資料を読んで下さい。ただ端的に私がまとめると「SBSで入って来た中国産米は2012年と2016年にあり、そのうち2012年に入ったものは京山で扱っていたが全て売ってしまったのでもう無い。2016年の方は、最短で2/23(今日ですね)に当該業者が受け入れる予定でまだ販売されてません。」そうです。しかし他にも中国産米が入っていないか調べているようで、中国政府に問い合わせているとのことでした。

ちょっと気になったのですが、他に輸入されてないかを中国政府に問い合わせているということは、中国からの輸入米で把握できていないルートがあるということなのでしょうか??それって密輸?いや流石にそれはない?ですよね??考えすぎでしょうか?っていうか、トレーサビリティ機能は働いてないのかと思ったのですが。

中国産米の輸入確認はさておき、今回公開された経過において「同位体検査」に対するJA京都の見解が記載されていました。JA京都は「同位体検査」によって産地を判明させることの難しさを指摘しています。資料が公開されていました。それは「食品表示を裏づける分析技術 -科学の目で偽装を見破る- 」という本です。そこだけ転載します。

加えて、安定同位体比分析による中国産米と日本産米の産地判別の困難性についての記述がある書籍がありましたので、その内容を公開いたします。

東京電機大学出版局発刊の『食品表示を裏づける分析技術―科学の目で偽装を見破る―』によると、豪州産、米国産、中国産、台湾産および日本産の5つの米のC・O同位体比を分析すれば、豪州産および米国産は日本産と明らかに違う一方、中国産、台湾産は日本産に大変よく似ている、と記述されている。したがって、安定同位体比分析のみで日本産と中国産の米の産地を判別することは非常に難しいといわれております。

引用された文章の後半で「豪州産および米国産は日本産と明らかに違う一方、中国産、台湾産は日本産に大変よく似ている」と記述されている。とありました。同じ品種だし、国も近いですから「似てる」こともあるでしょう。しかしその後に続く文章に納得できません。「したがって、安定同位体費分析のみで日本産と中国産の米の産地を判別することは非常に難しいといわれております」というのはおかしい。

「似ている」と書かれているだけで「産地を判別する事は非常に難しい」とは書かれていませんよね?

ただこの書籍の引用されている部分のあとに「非常に難しい」という記載があるかもしれないので、読んでみるまでは私の指摘が正しいとはいえません。ただもしそうはっきり書かれていたら間違いなくそこを引用すると思うのです。でもしていない。うーん。気になります。

くわしいことはこちらの資料を読んで下さい。

2017/2/24の動き

監査士10名、事務スタッフ32名で調査にあたっていたそうです。その結果、平成28年11月から29年1月末までに取り扱った全ての玄米、精米に中国産や産地不明のお米の混入は無かったそうです。

伝票などの書類上の話ではなく、返品されたお米や現在保有倉庫にあるお米のDNA鑑定、推定判定でもいいので同位体鑑定をしてほしいんですが、まだなんですか。待っていますよ、JAさん。

くわしいことはこちらをどうぞ。

2017/2/27の動き

JA京都さんの特設サイトで新たな動きが発表されました。待ちに待ったJA京都中央会によるお米の鑑定です。公開されたpdfファイルに記載されていました。大切な事なので引用しておきます。

また、記事に掲載のあった「京都丹後こしひかり」「滋賀こしひかり」「魚沼産こしひかり」の3銘柄について、産地および品種判別の検査のため、東京の日本穀物検定協会に提出いたしました。元検事正の弁護士ら2名、JA全農、行政などの立会いのもと、伝票や入庫記録を基に確認を行い、ダイヤモンド社が検査した商品と同じ1月5日に精米した、同じものを提出しました。

詳細はこちらからどうぞ。

http://kyoto-nogyo-hojin-kyokai.jp/ja-kyoto.jp/wp-content/uploads/2017/02/news-170227.pdf

この動きは非常に喜ばしいです。しかし当該の日本穀物検定協会が大丈夫な検査機関なのか重要です。この協会の詳細を調べました。

一般社団法人日本穀物検定協会とは

「一般社団法人日本穀物検定協会」は、昭和26年月にお米の配給が終わって民間の卸などが販売するようになり国と民間の間に公正な検定期間が必要になったことを受け、27年に「社団法人東京穀物検定協会」として設立し、全国に設置されていきました。

お米の生産量が増え、検定量も増えていったため、技術や検定方法の画一化を図るため、昭和30年に全国にある検定協会を統合し「財団法人日本穀物検定協会」となりました。その後「食品衛生法に基づく検査機関」として厚生労働省からの認定を受けたり「改正JAS法に基づく検査機関」認定を受けるなどを経て、平成24年に一般社団法人になっていました。

詳しい事業内容などを知りたい方はこちらへ

検査内容

HPを見るとこちらでは様々な検査が行われていました。今回はお米の問題なので、お米の検査内容を列挙します。
詳しい検査内容をご覧になりたい方は移動してください。

公開されている検査内容(検査・検定、理化学分析)からお米に関する検査内容を抜粋し、それぞれについて私なりのコメントをつけました。

  1. 農産物検査(日本産農産物検査と外国産農産物検査)
    品位検査を行う農産物検査は見た目等の重視で生産国や産地はわかりません。
  2. 品質検定(米穀の品質や水分、荷姿、量目などの検査)
    品質検査は店頭や倉庫で行う検査ですが、生産地や生産国はわかりません。
  3. 農産物検査法に基づく米麦の成分検査
    成分検査によって多少の生産国の特色は出るでしょうが、生産国検査を目的としていない以上、生産国は判らないでしょう。
  4. 米穀検査(米の品種DNA鑑定)
    DNA検査では「米の品種」が判るだけです。中国産でも日本産でも「コシヒカリ」と出るだけで、産地は判りません。
  5. 残留農薬・カビ毒・重金属・微生物分析
    残留農薬検査等で、日本国内で流通していない、禁止されているものが出れば「日本産ではない」と見抜けるかも?
  6. 米の鮮度判定
    検査したお米が新しいか古いか判っても、生産地や生産国はわかりません。

この検査内容では納得できません。私なりに一生懸命探したのですが検査項目の中に「同位体検査」がありません。どうして同位体検査のある機関に調査依頼をしないのでしょうか?これでは意味がありません。同位体検査をしましょうよ!JAさん!

今回の問題は「どこで生産されたお米なのか」です。JAも農林水産省も問題のすり替えをしてはいけません。一刻も早く「生産地、生産国の推定できる同位体検査」をしてください。

2017/3/1 追記
昨日「同位体検査」の項目が無い、見つけられないと記載したのですが、ありました。なんとトップページから直に進めるようになっています。

トップページの右上の「TOPICS」の一覧に「米の国産・外国産を判別します。」というテキストリンクがありました。検査項目のリストページにあるとばかり思い込んだ私のミスで見落としです。申し訳ありません。日本穀物検定協会でも「同位体検査」が行われています。

当該のページにはこう記載されていました。

米の産地判別に係る依頼分析の受託

ICP/MSによる元素分析等の手法を用い米の国内産・外国産の判別および外国産混米の可能性についての依頼委託します。

報告書のスタイル

「外国産の可能性が高い」「国産の可能性が高い」等

料金 10万円( 税抜 )

重元素同位体比組成および多元素濃度を用いた方法等による

納期 5~10営業日

※ 別途追加検証を行った場合は納期延長があります。

試料量 200g以上

後略

JA京都グループ自らが検査依頼をし、その結果どうなるのか。非常に興味深く、結果が待ち遠しいです。

現会長は元農林水産省事務次官井出道雄氏

同位体検査をしないことに若干の怒りを覚えたので、関係者を調べました。すると現在の「一般社団法人日本穀物検定協会」の会長は、元農林水産省事務次官だった井出道雄氏でした。というわけで、彼に絡んだニュースを掘りました。

地方農政局廃止 あきれる農水省の反論

【静岡新聞のコラム】 こういう手合いから分権をもぎ取るのは本当に骨が折れる。農水省の井出道雄事務次官が地方農政局の廃止を渋っている。霞が関の抵抗にはもう慣れっこになったが、その口実を聞くと怒りを通り過ぎてあきれるばかりだ

▼農政局の担う食品流通の監視業務を挙げて「消費者保護の観点から一定の(政府の)関与が必要」と強調し、農政局の業務を地方自治体に移すことに反対したそうだ。「消費者保護」を農水次官から聞かされるとは思わなかった
▼だいたい、農政局のその監視業務が十分でなかったから汚染米の不正転売事件を許したのではないのか。有識者会議に「自覚と責任感を欠く」とまで批判された不始末にほおかむりし、農政局を死守する名分に消費者保護を持ち出すのは厚かましい

中略

【北海道新聞の記事】 農政事務所の廃止提言 農水省改革チーム 汚染米問題受け
 汚染された事故米の不正転売問題を受け、組織や業務の見直しを検討してきた農林水産省の改革チームは二十七日、転売見逃しで批判を浴びた地方農政事務所の原則廃止を柱とする緊急提言を、石破茂農水相に提出した。

後略

47トピックスより

事故米流通事件を受けて、農水省は改革チームを作り「地方農政事務所の原則廃止」を提言していたんですね。でもその反対をしていた人物だったとは。印象最悪です。農政局があっても仕事をしてないから事故米が流通したんでしょうに。管理出来ない無能な機関は要りませんよ。

井出氏の名前で検索をして出てきた記事をもう一つ。

「霞が関の赤っ恥」井手農水次官

農林水産省の井出道雄事務次官が後ろ指をさされている。金融筋では、井出氏が農林中央金庫に、農水省元次官の小林芳雄氏を「厚遇」するよう圧力をかけたことは周知の事実だ。農中理事長は長らく農水次官経験者の指定席で、小林氏は前理事長の上野博史氏の後釜と目されていた。ところが、米金融危機の難を受けた農中は09年3月期に巨額赤字に転落。引責辞任する上野理事長の後任が再び次官OBの天下りでは持たないため、生え抜きの河野良雄副理事長を昇格させた。これに腹の虫がおさまらないのが井出氏。「理事長に代わるポストはないのか」と揺さぶりをかけ、副理事長に小林氏をねじ込もうと画策した。農中は全国農業協同組合中央会(JA全中)の向井地純一専務理事を副理事長に起用し、井出氏のゴリ押しを封じた。

それでも井手氏は諦めない。今度は農中傘下の農林中金総合研究所に目をつけ、その理事長ポストを要求。農中側が譲歩し、総研が定款変更をして社長の上に理事長を設け、小林氏を迎えることで話がつきかけた。ところが、このあまりに露骨な天下り劇がマスコミに報じられて最終的には官邸からストップがかかり、白紙撤回となった。

事情を知る関係者は「農中を見下した井出氏の態度は恫喝まがいだった」と憤る。井出氏は「我が省から働き掛けは一切していない」と会見でシラを切ったが、「官邸の手を煩わせながら開いた口がふさがらない」(内閣官房筋)と、政府筋からも批判された。

中略

話は昨年12月19日に遡る。「思い出したくない宴会だった」(省幹部)。場所は農水省3Fの「農政クラブ」。井出氏を囲み、午後6時半に始まった酒盛りは日付が変わる頃まで続いた。クラブといっても夜の盛り場のそれではなく、新聞、テレビの記者が詰める省内の記者室だ。部下である幹部職員やホステスならぬ女性記者に囲まれ井出氏はヘベレケ。自らの出世話に酔いしれた。

この日、政府は緊迫していた。日本が農業分野で孤立した世界貿易機関(WTO)ドーハ・ラウンド閣僚会議の年内開催に向け、外交交渉の大詰めに入っていた。同日午前、全国の農家3千人が日比谷公会堂に集結し、「安易な妥協はするな」と怒声を上げていた。外務省は深夜まで情報収集に追われ、経済産業省は状況説明のレクを開いていた。ところが、当の農水省は、事務次官が記者と酒に興じていたのだ。

後略

FACTA ONLINE
2009年8月号 POLITICS [ポリティクス・インサイド]

事故米流通が発覚した当時の責任者である白洲敏朗事務次官が引責辞任後、井出氏が農林水産省の事務次官になっていました。ちなみに事故米で白須敏郎事務次官は、農業共済組合(JAとJA共済とは無関係の団体。誤解されませんように)の補助金不正需給問題で辞任した小林芳雄事務次官の後がまです。

不正ばっかり。うんざりです。

ただご紹介した二つの記事は両方古いお話です。それに昨今メディアは取材力や裏付け能力の低下が著しく、どこまで信用できるかという問題がありますから、参考程度にしてください。しかし井出氏は「こういう話が出るような人物」という印象は否めません。

公平性を考えて、他の二人の農林水産省出身の方(理事長 伊藤健一氏、業務執行理事 石原清史氏)も同時に調べましたが、井出氏のような醜聞は出てきませんでした。

伊藤健一氏はかつて農業者年金基金(のうねん)の理事長でした。しかし今の理事長をしている中園良行氏です。二人とも農林水産省出身です。伊藤健一氏をうがった見た方をすれば、天下り巡り中ってところでしょうかね。

石原清史氏は農林水産研究所所属だったようで行政と研究についてのコラムを書かれています。すぐに読める量のコラムなので興味のある方は読んでみてください。私は悪い印象を持ちませんでした。

一般社団法人日本穀物検定協会で役員人事に関する公開資料を挙げておきます。

平成28年6月
役員選任に係る透明性の確保について

1.一般財団法人日本穀物検定協会は、国家公務員出身者の理事候補者の人選にあたって、透明性、ガバナンス及び自律性を確保するため、役員候
補選考委員会規程に基づき、平成28年3月24日開催の評議員会で、国家公務員出身者以外の評議員2名と外部有識者1名により構成される役員候補選考委員を選任しました。

中略

代表理事
会長:井出道雄(新任)年齢66歳選定理由:氏は、当協会の健全な運営を総理していく上で、会長として適任であると判断された。

代表理事
理事長:伊藤健一(重任)年齢65歳
選定理由:氏は、当協会理事長としての実績に加え、業務運営に関る知識と経験は十分であり、理事長として適任であると判断された。

業務執行理事:石原清史(新任)年齢60歳
選定理由:氏は、担当分野における知識と経験は十分であり、適任であると判断された

天下りが全て悪いとは思いませんし、必要な優秀な人材もいるでしょう。でも井出氏は「適任」なんでしょうか。

2017/2/28の動き

待ちに待ったJA京都グループによる「重元素安定同位体比分析」を依頼したことを発表しました!!これは期待大です。大切なことなので資料から引用しておきます。

また、 京山が販売する「滋賀こしひかり」、「京都丹後こしひかり」の生産地で、弁護士・市町村行政などの立会いのもと、「DNA鑑定」(品種判別)および「重元素安定同位体比分析」(産地判別)検査用の玄米サンプルを採取し、東京の一般財団法人日本穀物検定協会に送付しました。

http://kyoto-nogyo-hojin-kyokai.jp/ja-kyoto.jp/wp-content/uploads/2017/02/news_170228.pdf

ようやくです。でもこの検査結果で当該のお米から中国産米だと思われる米粒が出たら「偽装確定」ですが、もしも出なかったら、週刊ダイヤモンド(同位体研究所)と真っ向から対立することになりますね。結果を待ちたいと思います。これで一つの着地点になるのではないでしょうか。

2017/3/10 追記
「重元素安定同位体比分析」を発表したと喜んだのですが、大事な部分を見落とししていました。申し訳ないです。

それは「生産地で」という部分です。生産地でサンプル採取したものを検査しても「京山が販売したもの」と見なす事が出来ません。添付された写真では玄米は袋詰めされて保管されているようです。ならいつ袋詰めされた玄米なのかの記載が必要です。というのも偽装疑惑報道後、あわてて他府県のコシヒカリを混ぜないで詰めたものである可能性があるからです。

2017/3/7の動き

約一週間ぶりに動きがありました。今回は他府県産が混じっているとされた「京山が販売した「魚沼産こしひかり」の「生産地で」採取した玄米の「DNA鑑定」と「重元素安定同位体比分析」を依頼したそうです。依頼先は前回と同じ「日本穀物検定協会」です。詳細はこちらをどうぞ。

また、本日は(株)京山が販売したという「魚沼産こしひかり」について、「DNA鑑定」(品種判別)および「重元素安定同位体比分析」(産地判別)検査を行うため、生産地において、弁護士・行政担当者などの立会いのもと、検査用の玄米サンプルを採取し、一般財団法人日本穀物検定協会に送付いたしました。

「滋賀県産こしひかり」「京都丹後産こしひかり」と同じく、「魚沼産こしひかり」も生産地で採取した玄米のサンプルで鑑定依頼をしていますね。

資料を見たところ、魚沼産コシヒカリ玄米は「タンク」や「袋」に保管されており、納入された「袋入り玄米」はそのまま売られるか、袋から出してタンクに入れられるなどして管理されているようです。ただPDF資料には提出されたサンプル玄米が「いつ袋詰めされたものか」などの記載がありません。これでは駄目な気がします。

いずれのコシヒカリ玄米にしても、週刊ダイヤモンドによる産地偽装疑惑報道が出る前のサンプルで、なおかつ偽装疑惑報道の出た同じ玄米で検査をしないと、偽装疑惑の払拭にはなりません。

というか、袋詰めされた玄米であれば「日付の特定」は可能でしょうが、タンクに投入された玄米の日付の特定はできませんよね?となると偽装疑惑のあった京山の販売した「魚沼産コシヒカリ」と比較するのは無理があるような・・・。

どちらにしても今はまだ鑑定結果を待つしかできませんね。

2017/3/13の動き

待ちに待ったJA京都が独自に行ったお米の鑑定結果が公表されました。詳しいことはJA京都さんのHPに行ってください。

http://kyoto-nogyo-hojin-kyokai.jp/ja-kyoto.jp/wp-content/uploads/2017/03/news_170313.pdf

2017/3/21の動き

今回のダイヤモンドの報道以降、京山への返品、取引停止が相次いで大変な損害が起こっているそうです。非常に残念ですが、はっきりしない状態ではお店も売れないですし、消費者も手に取りたくないというのが現状でしょうね。

京山がJA京都に依頼して、中国産米、玄米、産地不明米の混入が無かったかの調査をしたところ、混入は無かったという報告書も上がってきました。

2017/3/23の動き

京山の被害状況の報告でした。日に日に「出荷停止」「販売停止」「一時停止」などが増え続けているようです。厳しい状況です。

2017/3/29の動き

大きな動きがありました。JA京都が民間の検査会社へのお米の鑑定を依頼しました。依頼先は「ビジョンバイオ」です。手前味噌ですが、もし私が関係者なら民間会社にも鑑定依頼をすると提案していた会社でした。ちょっと嬉しい。報告はまだですが、結果が待ち遠しいですね。

2017/4/15の動き

ついに週刊ダイヤモンドとの裁判が始まったという報告がありました。しかしこの報告を読み、非常に腹立たしい思いを抱いています。というのも、週刊ダイヤモンド側からは誰も出席していないというのです。

お米の偽装が事実ならとんでもないことです。そしてそれを暴いたという自負があるのなら堂々と出席するべきです。しかし裁判に出てきていない。これはアンフェアです。週刊ダイヤモンドは裁判に出てくるべきだと思います。詳しい事は公開されているpdfファイルをお読みください。

中国産米が混入されていない検査結果を農林水産大臣はじめ、各関係各所に送付したそうです。

2017/4/21の動き

今回の報告はJA京都が元最高検察庁検事川端伸也弁護士立ち会いの元、週刊ダイヤモンドが鑑定して「中国産米」「他府県産米」が検出されたという「滋賀こしひかり」「魚沼産こしひかり」を買い戻したものを、同位体研究所に鑑定依頼した結果の報告でした。

その結果ですが、週刊ダイヤモンドの結果とは全く違っています。報告書では全て国産、そして他品種も混ざっていないとなっていました。(5%までの他品種混入は認められています。理由は土の中にまぎれていた他品種が混ざる事などもあるからです)

JA京都の調査について思うこと

報道があってからすぐに提訴、調査開始とフットワークが軽いですね。お米の偽装はJAの存在意義を揺らがせる大問題だから当然だと思います。ただ、納得出来ない事があります。それは「なぜ同位体検査をしないのか?」ということと「どうしてJA京都の人で調査するのか?」ということです。

同位体検査をして産地を明らかにするべき

今回の疑惑は「中国産米」の混入だけが問題ではない。「魚沼産コシヒカリ」に「他府県のコシヒカリ」の混入疑いも指摘されているのです。

なのに何故「中国産米」の行方や伝票ばかりを調査しているのでしょう。全く持ってお門違いの調査です。やるべきは、「お米の産地」を調べる事です。「週刊ダイヤモンド」が信用できないというなら、第三者に頼んで調べればいいでしょうに。それをしないのは「偽装している」ことを知っているからじゃないんですか??

それに調査をしているのがJAの中の人では信用できません。こちらも第三者に調査してほしかったです。キツイ言い方をすれば「泥棒が泥棒の捜査」をしている印象です。甘い。今回の問題はJAへの疑惑として報じられたのだから「JA以外の調査」で週刊ダイヤモンドへ的確に対抗するために、第三者の目で戦うべきだったのではないでしょうか。

2017/2/23 追記

JA京都さんの新たな動きが出たので追記します。ようやく「同位体検査」についての見解が出てきました。JA京都としては「同位体検査」では判別はしにくいという意見です。

というわけで、「同位体検査」について他の資料を探したところ、2008年に発表されたと思われる「総説 安定同位体利用技術同位体比等による農産物の原産地および施肥・栽培履歴の推定 中野明正」という資料が見つかりました。米の部分を引用します。

2.原産地の推定
2・1
輸入米への対応

日本の農産物や食品の原産地判別に関する研究は1980年代後半から報告されるようになったが,本格的な研究は1996年以降である。この背景には特に1995年の新食糧法の施行によってコメの品種,産地,生産年の表示が義務づけられるようになり,これらを確認する手法の開発が必要とされるようになったからである。コメを中心とする穀類の研究は,農林水産省のパイオニア特別研究「穀粒の一粒判定技術の開発」で行われた1)。
コメの産地判別についてはICP質量分析計で測定したホウ素(B)とストロンチウム(Sr)の同位体比から外国産との判別が可能となることが明らかにされた。Bの同位体比からオーストラリア産米が判別でき,Srの同位体比からオーストラリア,中国,ベトナム,カリフォルニア産米が判別できることが示された。また,国内産米についても Sr の同位体比は,西日本と東日本で値が異なることが示された。2・2

ホウ素とストロンチウムの同位体比で外国産との判別が可能となると言い切られています。さらに国内産米でも東日本と西日本で値が異なるとも記載されています。この資料を読む限り「外国産米」か「日本産米」かどうかくらいは同位体検査で調べられそうな印象です。実際のところはどうなんでしょうか。

しかし私ならこの検査機関に京山で売られていた当該のお米を第三者の検査機関に持ち込み、その結果を公表します。これくらいしないと身の潔白を証明できないでしょう。JA京都さんぜひやってください。

そして、JA京都さんの無実を証明したら、次は生産者の調査に入るべきです。JA京都や京山が入れていないのなら、次はその前段階である「生産者が中国産米を混入して納品している」ことを疑う必要があるからです。というわけで、JAや農林水産省は、生産者が「中国産米」を手に入れていないか、そして生産量と納品量の数がちゃんと整合性がとれているかを調べてください。

2017/2/28 追記

JA京都が「一般社団法人日本穀物検定協会」に週刊ダイヤモンドで疑惑を掛けられた3品種を提出、検査を開始しました。しかし、「日本穀物検定協会」の検査項目の中に「同位体検査」はありません。しかもこの協会は元農林水産省の事務次官井出道雄氏が会長になっています。

何故、「同位体検査」の出来る検査機関に持ち込まなかったのでしょう?
何故、余計な疑惑をもたれる天下り官僚が会長になっている検査機関を選んだのでしょう?

ここは民間の第三者機関に持ち込んでほしかった。そして推定結果でいいので「同位体検査」をして欲しかった。非常に残念です。

2017/3/1 追記

大きな訂正があります。昨日、私は「日本穀物検定協会」では「同位体検査」を行っていないと記載したのですが間違っていました。申し訳ありません。検査項目リストばかりを探していたために見つけられなかったせいなのですが、トップページの右上に「米の国産・外国産を判別します。」というテキストリンクがありました。

当該のページには「報告書には「外国産の可能性が高い」「国産の可能性が高い」等」というものになり、料金は10万円などと詳細が記載されています。確立されていない「同位体検査」技術なのでこういう記載になるんでしょう。検査結果は5日から10営業日とあるので、3月10日には判明しそうです。楽しみですね。

JA京都で行ったお米の産地検査結果

この記事のタイトルで訴えていた通り、JA京都は日本穀物検定協会に同位体検査を依頼しました。そしてその結果が公表されました。概要をまとめます。

鑑定結果は全て日本産

一言でいうと「中国産米の混入は無かった。」です。週刊ダイヤモンドの報道と真っ向から対立する結果です。

  • 検査機関
    株式会社日本穀物検定協会
  • 検査対象のお米
    京都丹後こしひかり(キープサンプル米) 滋賀県産こしひかり(キープサンプル米) 魚沼産こしひかり(キープサンプル米) 京山が買い戻したお米(滋賀コシヒカリ5kg 魚沼産コシヒカリ5kg)
  • 検査結果
    全て国産

*キープサンプル米とは、「米の卸業者が消費者から問い合わせがあった場合に備えて保管するサンプル米(JA京都の公開している資料より)」

こちらが公開されていた資料の抜粋です。

JA京都 京山中国産米混入中間報告第10段より

JA京都 京山中国産米混入中間報告第10段より

資料では鑑定結果とともに、その結果を受けての週刊ダイヤモンドが依頼した「同位体研究所」への質問状も添付されていました。内容は9項目ありました。それらをざっとまとめました。判りやすく書き換えているので若干くどくなります。

  1. 同位体研究所の鑑定の具体的な手法を教えて欲しい
  2. 過去の実績(中国産米と出た結果の数)を教えてほしい
  3. 同位体研究所は誰からの依頼で、どんな内容の依頼か、何時行われたのか教えてほしい
  4. 鑑定を行ったものはJA京都と同じ4銘柄だったか?違うならその銘柄を教えてほしい
  5. 検体は袋のまま持ち込まれたのか?持ち込まれたのなら誰が開封したのか?採取したのは誰か?どんな風に採取したのか教えて
  6. もし袋のまま持ち込まれたのではなかったのなら、誰がどうやってどのように運び込まれた、どのくらいの量の検体なのか教えて
  7. 同位体研究所が行った鑑定に使った検体の残りはどうしたのか?どうなっているのか教えて
  8. 別紙31項の写真(*)の4銘柄の鑑定結果を教えて
  9. 10粒中6粒が中国産という結果を出していますがその根拠を教えて

*別紙31項の写真というのは、京山から同位体研究所へ出した質問状の添付書類だと思われます

更に詳しい資料をご覧になりたい方はJA京都のページの特設サイトへ見に行ってくださいね。

鑑定結果を見て思った事

鑑定結果は真っ向から対立したものが出ましたね。ただ鑑定結果が公表されたにも関わらず、私が真っ先に思った事は「えっ。京山が保管していたキープサンプルの鑑定したの?それじゃ信用出来ないんだけど。」でした。

こういう感想を持つと「あなたもJAを叩きたいだけじゃないの」と言われそうですが、私の京山という会社への信頼度が低いのでどうしようもありません。でもキープサンプル米を第三者が採取して保管していたのなら信用しました。

今回、京山は容疑者の一人です。その容疑者が持っていたものを鑑定して「白」でしたと言われても・・・というのが正直な感想です。とはいえ、JA京都は自分たちで出来る事、お米の鑑定を行い、公開しました。それは評価すべきことです。ただその結果については「京山」への疑いを晴らせるほどの効果を感じられませんでした。

あと「生産国しか判らなかったのか」というのも感想の一つです。結局生産量よりも多く出回っている「魚沼産こしひかり」の実態は暴けないままです。どうやら本物の「魚沼産こしひかり」を食べたいなら現地に買いにいくか、現地農家に直接注文して購入するしか方法はなさそうです。

農産物検査法

生産された農産物は野放しにしておくと、質の悪いものや身体へ害を及ぼすような問題のあるものが出回りかねません。そのために法律のもとで管理されています。ここからは日本の農産物の管理について勉強していきます。

現在、日本の農産物は「農産物検査法」という法律の元に管理されています。

のうさんぶつけんさほう(農産物検査法)

農産物の公正円滑な取引と品質改善をねらいとして国が統一規格で検査することを定めた法律(1951年公布)。

米麦類の強制検査、豆類・雑穀・いも類・工芸作物等26品目の任意検査、それ以外の品目に関する都道府県からの依頼検査を行っている。1995年の食糧管理制度廃止に伴い、一部規制緩和され、2001年から5年間で完全民営化に移行。

百科事典マイペディアより

昔は「食糧管理法」で管理されていたんですね。でも何故この法律は廃止に至ったのでしょうか。日本の「お米」を取り巻く環境、状況を生み出す要因なのでこの当たりを深く掘り下げます。

米穀流通を取り巻く法律の変遷

米穀流通の法律の変遷やその経緯、詳細の資料が農林水産省で公開されていました。より詳しく知りたい方、理解したい方はこちらのPDFをお読み下さい。

食糧管理法制定とは

現在は廃止となった「食糧管理法」は、昭和17年、大東亜戦争の最中に制定された法律です。古い映画やドラマ、大戦をテーマにした映像作品において、配給のお米をもらいにいくシーンが再現されているので若い方も理解できると思いますが、戦争が始まり食料事情が悪化したため、その管理を国が担うために作られました。

食糧管理制度

食糧の受給安定のために、米、麦などの主要食糧の生産、流通、消費を国が直接、間接に統制する制度。食糧管理法(昭和17年40号)によって、米、麦、イモ類、雑穀など主要食糧の広範な管理制度が確立したが、1968年に自主流通米制度の創設、1972年に米価統制令の撤廃など、徐々に間接統制に移行し、1995年に民間流通を基軸とする新食糧法が制定された。

ブリタニカ国際大百科事典より

食糧管理法の問題点

制定された頃から戦後しばらくの間は必要な法律でした。しかし日本が復興しはじめ、高度経済成長期に入り、食糧事情も改善された頃から、この法律は時代と合わなくなっていきました。というのも、運用すればするほど赤字を生む「逆ざや」状態になったからです。

赤字を生むだけの法律

「逆ざや」になったのは単純な理由です。「生産者から高く買い取り、消費者へは安く売る」ことを続けたからです。消費者としては安く買えるのは嬉しいですが、赤字を生むのに続けたのは愚かな行為だったと思います。

自主流通米制度

赤字が増え続ける状況は当然ながら放置できません。国はその解消を計るべく、1969年に国を通さずにJA(農協)が売買するお米を「自主流通米」として売れるようにしました。市場には国が公定価格で買い取り安く販売しているお米と生産者がJA(農協)を通じて売るお米が並ぶようになったのです。

縁故米、闇米の流通

JA(農協)を通した自主流通米は、農家で生産したお米が余っているから市場に出たお米です。しかしJA(農協)を通して販売する以上のお米がまだ余っていました。それが市場を通さずに流通しています。それが闇米、そして親戚などに無料で譲渡される「縁故米」と呼ばれるものでした。

縁故米とは「1)農家から親戚などに食用として譲渡される米。2)第二次大戦後の食糧不足に対処するため、1947年の「第一次食糧緊急対策」で導入された制度。農家から米の送出先を縁故者に限定するもの。(広辞苑より)」だそうです。

ただ「縁故米」については、業として「農業」をしている人たちが「無料」や「格安料金」で親類縁者などにお米をお裾分けするのは問題だという指摘があります。というのも、「農業従事者」には国からの補助金が入っており「脱税」と捉えられても不思議ではない行為ではないか・・・というわけです。

この件についての意見をネット上で探してみました。すると同じように考えている生産者側の方もいましたし、「脱税ではないか」と憤っている一般消費者の方もいました。もちろん自分たちで食べる分だけを作ってそれをお裾分けすることの何がおかしいのかという意見もあります。

確かに私が自分でプチトマトを作って「食べてみて」とお隣さんなどにお裾分けしたら「それ脱税じゃん」といわれたら困惑しそうです。でも補助金貰ってないしな?うーん。

生産者側よりの立場から素人にも判りやすい説明が記載されています。自分の首を絞める縁故米。

http://www.suzunobu.com/enkomai.html

税金泥棒ではないかという意見。

「縁故米」は農業収入とされる事への疑問。

恥ずかしながら「縁故米」という言葉すら聞いた事がない上、深く考えた事が無かった私には、とても参考になる意見でした。

お米の品質を下げる要因に

赤字を生むだけが問題ではありません。お米の品質にも影響を及ぼした法律でした。というのも、どんなお米を作っても国が必ず買ってくれるからです。これでは努力をしなくなっても当然と思います。もちろん美味しいお米を作る努力をしている農家もあります。しかし「とりあえず作る」だけの農家になってしまっても責められません。それに主食のお米を作ってもらわなくては困る側面もありますから補助するのも当然といえます。

ですが、お米の品質が維持されにくい状況で作られたお米を国が販売する時は、基本的に「古いもの」からで、品種も混ぜて売られてましたから「味」は度外視されていました。

一方で、消費者への流通は原則として在庫期間の長いものから売り出されるとともに、品種にかかわらず混合されていたために味が悪く、消費者は多少高くてもおいしい米を求めるようになり、最初は管理米の枠外として縁故米や「ヤミ米」として流通する。政府はこれを追認する形として、一定以上の品質を確保した米だけを自主流通米として流通させることを認めた。

wikipedia:食糧管理制度 食糧事情の変化と制度の限界より

確かに私の記憶では、昔のご飯は今ほど美味しかったとは思えません。ただこれは主観的なものですし、今は炊飯器の目覚ましい発達でそこそこの?お米も非常に美味しく炊けるようになっているので当てになりませんがw

こういう状況の中、品種を混ぜた、国が売っているお米よりも美味しかったであろう単品種の「自主流通米」が市場に出て、美味しいご飯を望む消費者が「お金を出して」高いお米を買うようになり、お米の価格も市場原理に任せる流れが生まれ始めます。

新制度「新食糧法」発足へ

赤字の垂れ流し、お米の品質維持への弊害、更に外国からの「お米も輸入しろ」圧力もあり(ミニマム・アクセス米/後述します)、すっかり時代と合わなくなった「食糧管理法」は1995年になってようやく廃止され、新しい法律「新食糧法」が制定されました。

新食糧法(しんしょくりょうほう)

政府によるコメの全量管理を原則とした旧食糧管理法に代わり、1995年秋に施行された法律で、コメの生産・流通規制を大幅に緩和したのが特徴。旧法ではヤミ米扱いだった農協ルートを通さない計画外米(自由米)が公認されたほか、卸、小売りの参入規制も廃止された。この結果、大半のスーパーやコンビニエンスストアでコメが販売されるようになった。このため、有力コメ卸の全国展開や合併による規模拡大といった現象が生じている。

経済・ビジネス用語辞典より

国が生産者から買い上げて、指定したJA(農協)などに卸し、更に指定のお店だけが販売していたお米は、生産者がJA(農協)を通さずに「自主流通米」を売れるようになり、コンビニなど多種多様なお店で買えるようになるまでになりました。

米流通をめぐる状況 農林水産省

現在は、生産者から消費者が直接購入できるまでに規制緩和されました。

米流通をめぐる状況 農林水産省

ただ、お米の規制が緩和されるに伴い、お米の検査も民間で行われるようになりました。その数の変遷です。平成13年には297しかなかった検査機関が平成18年度(見込み)には1404となっており、かなり増えました。この数の増加はちょっと気になります。検査のレベル維持、公正さを保つ事は出来ているのでしょうか。

民間 農産物登録検査機関数

確かに昔は「お米屋さん」でしかお米は売っていませんでした。そういう意味で、お米販売は既得権益だったと言えます。でもこの法改正でJA(農協)などの特権ではなくなり、お米は格段に買いやすくなりました。

ただ、この段階でまだ問題はありました。「お米」の検査、チェック体制の甘さから「事故米流通事件」を引き起こしたのです。

2008年の事故米流通事件

カビの発生したお米や輸送中に濡れたり傷んだりしたお米は「事故米」は食用として流通されないようになっています。しかしその事故米を混ぜて転売するという悪質な事件で、大騒ぎになったことは今もはっきり覚えています。

農林水産省は、2008年8月28日に、農薬のメタミドホスとアセタミプリドが残留している米や、発癌性のあるカビからできた毒のアフラトキシンB1を含んだ米であるいわゆる事故米穀(ベトナム産うるち米、中国産もち米など[1])を、工業用(非食用)として、三笠フーズ株式会社に売却した。

近畿農政局と九州農政局が、この事故米穀の処理状況について立ち入り調査等を行なったところ、三笠フーズは、落札した事故米穀を非食用として仕入れておきながら、その事実を隠して食用として転売したことが確認された。2008年9月5日に、農林水産省は、同社に対し回収を要請して、商品の自主回収を行わせたことを発表した[2]。

1997年に三笠フーズが吸収合併した宮崎商店(現・三笠フーズ九州事業所)は、合併以前から不正転売を行っていたと報じられている[3]。問題の発覚後、三笠フーズは全従業員を解雇し、事業の縮小を図ることを発表した[4]。

その後、農林水産省が他の事故米穀の処理状況について調査したところ、三笠フーズの他にも、愛知県の株式会社浅井と太田産業株式会社、新潟県の島田化学工業株式会社が、独自に不正転売していたことが判明した。

wikipedia:事故米不正転売事件より

米トレーサビリティ制度

「事故米」の不正転売事件は米の管理システムの穴を明らかにしました。今後、そういった事が起こらないように「どこで誰が作り、誰が買い取って、どこで売ったのか?」これらの情報を常に記録することで、事故米が流通したり、その他の不正が行われたりしないようにするために「米穀等の取引等に係る記録及び産地情報の伝達に関する法律」が作られ、この法律のもとに、現在は「米トレーサビリティ制度」として運用されています。

米トレーサビリティ制度

「トレーサビリティ制度」について詳しく知りたい方はこちらへ

かなり厳しくなったとは思いますが、それでも中小零細米卸の間で転売されるトレースできないコメや低品質のクズ米流通があるようなので、今のままでは完璧ではないようです。(トレース出来ないコメや低品質なクズ米については週刊ダイヤモンドに記載されていましたのでそれをソースとします。)

ミニマム・アクセス米

お米などの主食は、長い間各国で輸入制限措置が取られていました。しかし世界中で貿易ができるようになり、その制限を取っ払うべきだという動きが出て、1993年のガット・ウルグアイ・ラウンドでの交渉後、日本も殆ど輸入していないお米などについて他国から輸入できるようにしろと迫られました。

ミニマム-アクセス(minimum access)

国内消費量に比して輸入の割合が低い品目について、最低限の輸入機会を設けること。1993年のウルグアイーラウンド農業交渉で合意された。日本は、外国産米の関税化の特例措置として導入。99年関税に移行。

広辞苑より

この文章から判るように「お米の輸入義務」ではありません。ただ国としては日本国全体の貿易の利を考えて、日本国政府が窓口になって外国産のお米を一定量輸入するようになりました。それを「ミニマムアクセス米(MA米)」と呼びます。ただこのお米は基本的に一般流通はしないようになっています。理由は主食として流通させないためのようです。これは個人的に感謝したい。

ただ毎年輸入している「MA米」の処理には苦労しているようです。今のところ「加工食品原材料」や「飼料」「国際援助用」にしてどうにか使っているそうですが、溜まる一方のような。しかも国内で出回り難いようにしていることを諸外国からは批判されているようで、「MA米」は頭痛の種ですね。とは言え主食として流通させても「産地」や「銘柄」「お米の美味しさ」そして「安全性」を特に気にする日本人は多いので、なかなか売れ辛そうな気がします。

ていうか個人的に「MA米」には中国産米が含まれていますから食べたく有りません。食べたくない理由は「カドミウム入り米」や「プラスチック米」だからです。

中国のコメ輸入、カドミウム汚染で急増か

中国広東省広州市の周辺で流通するコメを対象にした調査でサンプルの半数近くが重金属のカドミウムに汚染していることが最近判明したが、この影響で思わぬ商機がめぐってきたのが近隣国のコメ輸出業者だ。

 さらなる調査によって汚染問題が長引けば、世界2位および3位のコメ輸出大国、ベトナムとタイの中国向けコメ輸出が拡大すると市場関係者は見込んでいる。一方、世界最大のコメ輸出国のインドについては、中国が同国からの輸入を制限しているため、輸出が急激に伸びることはないだろう。

中国米のカドミウム汚染がどのくらい深刻であるかは今のところ不明だが、先週末発表された調査結果では、18サンプルのうち半数近くから安全基準値を超えるカドミウムが検出された。カドミウムは様々な産業用途に使われている一方で、人体に有害であることが知られている。

 汚染米は主に近隣の湖南省から出荷されたものだ。同省は中国最大のコメ生産地であり、昨年は中国米の13%が同省産だった。

後略

THE WALL STREET JOUNAL
By Sameer Mohindru and Zhoudong Shangguan
2013 年 5 月 23 日 07:47 JST

50%がカドミウム汚染とは。

中国から密輸の「プラスチック米」102袋押収、ナイジェリア

【12月22日 AFP】クリスマスから新年にかけての大型連休を前に主食のコメの価格が急騰しているナイジェリアの当局は21日、中国から密輸されたプラスチック製の偽米、計102袋を押収し、容疑者1人を逮捕したと発表した。問題の「プラスチック米」を食べるのは人体に有害だと警鐘を鳴らしている。

後略

AFP通信
2016年12月22日 13:09 発信地:ラゴス/ナイジェリア

どんなに握っても握れない動画はどん引きでした。
ちなみに最近のミニマムアクセス米の輸入量はこんな感じです。

ミニマム・アクセス米に関する報告書

こうしてみると「中国米」の輸入量はアメリカやタイに比べてダントツ少ないですね。でもそれ故に気になります。今回問題となった中国産米はどこから流れて来たのかと。というかむしろこの量であれば、行き先の捕捉が簡単じゃないのかな??

SBS米

MA米には別の取引方法があり、その取引で売買されたお米を「SBS米」と呼び、主食として利用されています。SBSは「Simultaneous Buy and Sell」の略で、MAで入ってくるお米を国が仲介せずに「商社や加工業者や米卸など」が直接買う方式です。しかしSBS米には問題があります。

輸入業者との直接取引なので「価格は市場によって決まる」といわれていますが、実際にはその仕組みを巧妙に利用して「調整金(リベート)」で不当な価格設定が行われていました。

輸入米で不透明取引の疑い TPP国会の火種に

山本有二農相は16日午前の閣議後会見で、国が管理する輸入米の入札について、不透明な取引が行われていた疑いがあると明らかにした。従来の国の説明より安い価格の輸入米が流通していた可能性がある。環太平洋経済連携協定(TPP)でも採用される手法で疑惑が浮上したことで、今秋の臨時国会でのTPP承認法案の審議にも影響を及ぼす可能性がある。

 疑惑が浮上したのは海外の安いコメの輸入が国内価格に波及しないように国が管理して輸入する「SBS方式」。国が輸入商社からコメを買い入れ、価格を上乗せして卸業者に売り渡す仕組みだ。商社と卸業者が組んで参加する入札には予定価格が設定されている。1993年に合意した貿易交渉のウルグアイ・ラウンドで導入が決まった。

 だが、実際には「調整金」と呼ばれるリベートが輸入商社から卸業者に支払われており、実質的には入札価格を下回る安価な輸入米が国内に流通していた可能性があるという。山本農相は2年前に農林水産省の担当者が調整金の存在を把握していたと認めた。

 これまで農水省は「SBS米と国産米の価格は同水準」と説明してきた。TPPが発効すればSBS米は新たに年間で約7万8000トン増えるが「国内のコメ生産額への影響はない」として農家にTPPへの理解を求めてきた経緯もある。

日本経済新聞:2016/9/16 19:39

ちなみに現在は「調整金」は禁止となっています。

農水省、16日に輸入米の入札再開 リベートは禁止

農林水産省は12日、不透明な取引があったとして実施を見合わせていた輸入米の入札を16日に再開すると発表した。入札に参加する業者と国が交わす契約には業者間のリベートのやりとりを禁じる規定を盛り込み、取引の透明化をはかる。

 問題となっていたのは海外から輸入されるコメを国が管理する「SBS入札制度」。国にコメを売る輸入商社と国からコメを買い付ける卸業者がペアを組んで入札に参加する仕組みだ。

 9月初旬に入札は実施されたが、直後に輸入商社が卸業者に水面下で支払うリベートによって輸入米が安値で流通していた問題が発覚。野党が環太平洋経済連携協定(TPP)を審議する臨時国会で追及したことから、農水省は制度を改善するまで入札再開は見合わせるとしていた。

日本経済新聞:2016/12/12 19:15

他にまた何か手を使ってズルをしてなければいいんですが。

お米の検査方法

そもそもお米はどういうルールのもとに、どういう検査がなされて、どんな風に日本国内を流通しているのでしょうか。調べました。

国の農産物検査について定めた法律「農産物検査法」

お米などの農産物は、先に少し触れた「農産物検査法」のもと、農林水産大臣の登録した「登録検査機関」が行っており、「登録検査機関」は、法律で定められている規格にそって検査する事になっています。そして生産者や輸入業者、売買取引、加工を行っている者は「品位等検査をうけることができる」となっており義務ではありません。

農産物検査法(昭和二十六年四月十日法律第百四十四号)

(目的)
第一条  この法律は、農産物検査の制度を設けるとともに、その適正かつ確実な実施を確保するための措置を講ずることにより、農産物の公正かつ円滑な取引とその品質の改善とを助長し、あわせて農家経済の発展と農産物消費の合理化とに寄与することを目的とする。
(定義)
第二条  この法律において「農産物検査」とは、品位等検査及び成分検査をいう。
2  この法律において「農産物」とは、米穀、麦(小麦、大麦及びはだか麦をいう。以下同じ。)その他政令で定める農産物(農産物を原料又は材料として製造し、又は加工したもので政令で定めるものを含む。)をいう。
3  この法律において「品位等検査」とは、第十七条第一項第一号に掲げる検査の区分に係る登録検査機関が、農林水産省令で定めるところにより、第十一条第一項の農産物検査規格に基づいて行う同号に掲げる検査をいう。
4  この法律において「成分検査」とは、第十七条第一項第二号に掲げる検査の区分に係る登録検査機関が、農林水産省令で定めるところにより、第十一条第一項の農産物検査規格に基づいて行う同号に掲げる検査をいう。
5  この法律において「登録検査機関」とは、第十七条第二項の規定により農林水産大臣の登録を受けた法人をいう。

(米穀の生産者に係る品位等検査)
第三条  米穀の生産者は、その生産した米穀について品位等検査を受けることができる。

(米穀の輸入者に係る品位等検査)
第四条  米穀の輸入を業として行う者(以下「輸入業者」という。)は、その輸入した米穀について品位等検査を受けることができる。

(米穀の売買取引業者等に係る品位等検査)
第五条  米穀の売買取引又は加工を業として行う者(以下「売買取引業者等」という。)は、その所有し、又は占有する米穀で品位等検査を受けていないものについて品位等検査を受けることができる
2  米穀の売買取引業者等は、その所有し、又は占有する米穀で品位等検査を受けたものについて、次の各号の区分に応じ、当該各号に掲げる日以後において、品位等検査(量目及び品位についての検査に限る。)を受けることができる。
一  輸入に係る米穀 第十三条第一項の規定により表示され、又は記載された検査年月日(この項の品位等検査に係るものを除く。)から起算して農林水産省令で定める期間を経過した日
二  その他の米穀 その生産された年の翌年の農林水産省令で定める日

(農産物検査規格)
第十一条  農林水産大臣は、農産物の種類及び銘柄ごとに、その量目、荷造り及び包装並びに品位及び成分についての規格(以下この条及び第三十三条第一項において「農産物検査規格」という。)を定める。
2  農林水産大臣は、農産物検査規格を設定し、変更し、又は廃止しようとするときは、その施行期日を定め、その期日の三十日前までにこれを公示しなければならない。ただし、災害その他やむを得ない理由により農林水産大臣が必要があると認めるときは、公示の日から施行期日までの期間を短縮することができる。
3  農林水産大臣は、農産物検査規格を設定し、変更し、又は廃止しようとするときは、農産物の検査等に関し学識経験を有する者及び関係者の意見を聴くものとする。

農産物検査法 最終改正:平成二七年五月二九日法律第三〇号

赤くした部分を言い替えると「品位等検査をうけてもいい」ですね。ただし、この品位等検査を受けなければ「○○県産、品種○○、○○年産」といった表示ができません。その場合は「未検査米」という表示をつけて売る事ができます。

「未検査米」でも必ずしも危険とはならない

「未検査米だなんて怖い・・・!」と思うのは早いかもしれません。というのも、品位検査では「目視、いわゆる見た目判断」です。とても綺麗な形で粒も揃っているから良いお米・・・とはなりませんよね。ひょっとしたら「美しい見た目でも大量の農薬を使って作られたお米」の可能性だってあるからです。実際、「未検査米」だけど「無農薬」で作ってます!国に頼らず自分で「残留農薬」「放射能検査」受けて頑張っている農家さんもいます。

そんなわけで、結局はお米を買う相手が信用に足りるかどうか、これに尽きるのかもしれません。

品位検査

登録検査機関で行われている検査は品位検査で、「目視」が基本だそうです。

米の農産物検査について 農林水産省

「目視」で判る事は「形」「色」といった表面的な事です。そしてその結果でお米に「1級」「2級」「規格外」といった等級がつけられます。

国内産農産物の検査実施マニュアルより
国内産農産物の検査実施マニュアル

確かにお米の等級は美味しいお米の目安になるでしょうが、「未検査米」でも触れたように「残留農薬」などの量は不明です。この辺りは改善の余地があるように思います。

DNA検査

お米はDNA検査も行われています。ただDNA検査では品種チェックができるだけで、生産地、生産国までは判りません。これが今回の偽装疑惑発生の原因ではないでしょうか。

米の農産物検査について 農林水産省

ちなみに、他の種類のお米が混ざる事は避けられないようです。理由は記載されている通り、常に購入した種を植えているわけではなく、自家製の種を使う事もあって混ざったり、農家さんも人なので勘違いも起こりうります。更に自生してきた他の種類の稲がまぎれる事やコンバインなどの農耕機具に紛れ込んだ古いお米などが紛れることもあるそうです。なるほど、完璧を望むのは厳しそうです。

米の農産物検査について 農林水産省

明鏡国語辞典には「細胞内のDNAを構成する塩基の配列に個人差のあることを利用して個人の識別を行う鑑定方法。犯罪捜査・親子鑑定などに利用される。」と記載されています。しかしこの鑑定方法は人だけではなく、食物や動物でも可能で、お米の種類判別に有用だとされています。しかしあくまでも「お米の種類」を判別する方法なので、どこで生産されたかは判りません。

このような登録検査機関による「目視チェック」と「DNA検査」をクリアしてようやく、銘柄の証明ができ、販売する袋に表示できるようになっています。

同位体検査

続いて、今回週刊ダイヤモンドが行った検査が「同位体検査」です。この検査は農産物検査では行われていません。辞書で「同位体検査」を調べてみたのですが載ってなかったので「同位体」について調べました。

どういーたい「同位体」

(isotope)原子番号が同じで、質量数が異なる元素。すなわち陽子の数が同じで、中性子の数の異なる原子核をもつ原子。水素と重水素の類。同位体は臭気上で同じ場所を占めるので、ギリシア語のisoo(同じ)とtopos(場所)を合成して言語が与えられた。アイソトープ。

広辞苑より

科学知識皆無ですが、同位体の意味を知ってなんとなく判った気がします。恐らく採取したお米を「同位体検査」にかけた場合、「日本産の原子核数は○」「中国産の原子核数は●」という風に明確な違いが出るんでしょう。(たぶん合ってるはず・・!)これはすぐに導入してほしい検査ですね。というか導入しなくてはいけないでしょう。

2017/2/23 追記

さて。週刊ダイヤモンドは「同位体研究所」に調査を依頼し、その結果を元に記事を書いています。JAはまだです。というわけで、もし私がJA側の立場なら・・・と他の調査機関を探しました。

ビジョンバイオ株式会社 食品検査センター

こちらの会社ではお米だけでなく牛肉やしじみなどの産地判別も行われています。国内最大の品種別データを持っておられ、比較する能力が一番高そうです。そして誠実な印象を受けました。というのも、検査結果についての留意点をしっかり記載されていたからです。

ご留意点

  • 本検査は産地を「特定」または「断定」するのではなく、「判別」もしくは「推定」する検査になります。従いまして、検査結果の解釈については、生産体制や流通経路などの情報を踏まえて、総合的にご判断いただくようお願いいたします。
  • 本検査では日本産ならばどの地域なのか、外国産ならばどの国なのかについての情報は得られません。
  • 微量元素分析ではコシヒカリを中心としたデータベースを構築しています。コシヒカリ以外の品種や複数原料米の場合には、DNA品種判別および新鮮度判定を用いて総合的に判定を行う「国産米表示確認検査 VBスタンダード」をご利用ください。
  • 調理済または加工済の米では微量元素の濃度が変化しているため、微量元素分析の対象外となりますことをご了承ください。

検査結果はあくまでも「推定」だと記載されていました。しかし当該のページにはその「推定で出た結果」への自信もうかがえます。

高精度な判別を実現
当社では日本国内で最も作付け割合が多く、中国やアメリカなど海外でも作付け実績のあるコシヒカリを中心にサンプルを収集し独自の判定方法の開発を行いました。それにより、日本産、中国産、アメリカ産であれば94.6%(2014年度データベース)※1の精度で、判別することが可能となりました。

ただ100%ではないんですね。確かにこれでは「推定」としかいえません。「94.6%」という数字をどう捕らえるかがネックです。でもどうやら「同位体検査」の精度は疑惑を持つ根拠になり得ても、裁判で勝てる材料にはなれない気がします。

となると今回の「週刊ダイヤモンド」の報道はちょっと行き過ぎた表現になっているかもしれません。しかし以前から言われている「魚沼産こしひかり」の生産量より流通量が上回っている問題などを解消するきっかけにしてほしい。せめて、お米の「外国産」「日本産」チェックを検査するようにしてはどうでしょうか。その結果には「あくまでも推定です」と記載してもよいので。

お米の産地偽装をした犯人の推察

基本的なお米の管理、チェックシステムはかなり理解出来ました。ここからはお米の偽装が起こる原因を推察してみます。事実が解明されていない以上、登場人物全てが疑惑の対象です。

生産者

自分たちで一生懸命作ったお米にわざわざ中国産米を混ぜるなんてことに意味はないという意見もありますが、収穫量が少なくてつい中国産米を混ぜた・・・この可能性は否定できません。こればっかりは潔白であることを信じるしかありません。

2017/2/23 追記

JA京都と京山が連日、伝票や保有倉庫、中国産米の行方を調べ、中国産米が混入するはずがないとしてます。もしこれが事実なら、生産者への疑惑が強まります。こうなると、生産者の保有倉庫を調べ、中国産米を仕入れていないかの調査が必要になります。

JA京都は生産者への早急に調査を開始し、その情報を公開してください。それが生産者への疑惑を晴らすことに繋がります。

米卸会社

今回偽装が疑われているのは「米卸会社」で「京山」です。ただ彼らは否定しています。でも「京山」は2008年の事故米流通の際にも名前が出た会社でした。

汚染米混入おにぎり、コンビニで販売 8県で2~8月

食品加工会社「シノブフーズ」(大阪市)が、農薬に汚染された事故米を赤飯のおにぎりに加工、スーパーやコンビニエンスストアに流通していたことが18日、愛知県などの調査でわかった。この米は、三笠フーズ(同)と浅井(名古屋市瑞穂区)が、それぞれ事故米を食用として流通させたものの一部で、おにぎりは8月までに愛知、長野、滋賀など8県で販売された。

 愛知県とシノブフーズによると、同社の名古屋工場(愛知県弥富市)が今年2月13日~8月5日、京都市の米穀販売会社「京山」からもち米6864キロを購入して赤飯のおにぎりに調理。「おむすび赤飯」「おにぎり&いなり」の商品名で計10万2053個を製造し、愛知、岐阜、三重、福井、石川、静岡、長野、滋賀各県のスーパーやコンビニ計数百店舗で販売されたという。

朝日新聞 2008年9月18日21時9分

あの事故米が流通して騒ぎになっていた時、京山もその流通経路の中にいました。これは「判っていて流通させたんじゃないのか??」と、どうしても疑惑の感情を持ってしまいます。まあ今まさに調べていますから、犯人だと決めつけずにその結果を待たなくてはいけません。

でももしも今回「京山」が関わっていたら、小さな米卸会社が複数関わると碌な事にならないということですし、米卸会社の再編成が必要になるかもしれませんね。

JA京都

「京山」がやっていなければ、「JA京都グループ」が疑わしい事になります。しかしお米の流通を担って来た「JA」がやっていたら、もう「JA」は解体まっしぐらでしょう。となるとリスクどころじゃありません。やるほうが馬鹿です。となるとありえない?

しかしJA全農には前科があります。それは鶏肉偽装です。

2002年(平成14年)3月 – 全農チキンフーズと鹿児島くみあいチキンフーズが、タイ産・中国産鶏肉約7トンを「鹿児島県産 無薬飼料飼育若鶏」と偽り、コープネット事業連合に販売[1]。狂牛病により鶏肉需要が急増し、欠品対策として全農チキンフーズの指示で偽装が行われたとされている[2]。4月22日、当時の社長と専務が辞任した[3]。これに関し、3月29日に農林水産省はJAS法違反と認定[4]、6月28日にさいたま地方検察庁は不正競争防止法違反により全農チキンフーズの元首都圏支店長ら幹部3人と、法人の全農チキンフーズを起訴した[5]。

流石にお米でやったら取り返しがつかないのですが。どうでしょう。もし黒なら死人が出るやつかもしれません。

たくさん増えた登録検査機関

次の疑惑対象として、沢山ある「登録検査機関」をあげたいと思います。それは全国各地に増えた「登録検査機関」です。これを疑ったらもう何を信じれば良いかわかりませんが、「お米」を持ち込む生産者や卸会社、JA等と癒着していない保証はどこにもありません。

というわけで、検査機関との癒着を起こさせないために、検査機関は「区域内でランダムで決まるようにする」あるいは「検査機関内で一定期間経過すると人事異動させる」などの対策が必要です。同じ場所で同じ人相手に鑑定をし続ければ「情」が移る事もあるでしょう。「情」は良いことでもありますが「製品検査」という行為においては「邪魔」です。「接待漬け」にされても困ります。「登録検査機関」としての正当性を保つために必要な措置ではないでしょうか。

偽装の原因

生産者や米卸会社、JA、多すぎる検査機関など偽装する穴は皆無ではありません。しかしそれも法律の穴があるからです。

国の法律不備

誰がやったのかの犯人探しも大切ですが、一番悪いのは表示と違うものを混入させた人(会社)です。しかし私は一番の問題点は、農産物チェックに制度上の不備があることだと思います。

農産物検査において「DNA検査」を行って「コシヒカリ品種」に「ササニシキ品種」などの他の種類が入れば判るようにしているのに、どうしてどこの産地かチェックしてこなかったのでしょうか?

今回の「中国米」混入疑惑よりも前から、生産量よりも流通量が遥かに上回っている「魚沼産こしひかり」の問題があります。もしこの問題をクリアするべく、産地偽装をチェックできる「同位体検査」を導入していたら、「中国産米」混入問題を回避できたかもしれません。

「加工品の原産国表示義務化」の動きもありますし、今後はお米の産地、原産国チェックも合わせて行って欲しい。問題の多い中国米を食べたくない人達が日本のお米まで食べたくないとなれば、食物自給率アップにもさしつかえます。早急に対策してほしいものです。

偽装を防ぐための提案

見た目判断の「品位等検査」と品種判断の「DNA検査」だけでは産地偽装は防げません。ならばどうしたらよいのか。一番は週刊ダイヤモンドが行った「同位体検査」の導入でしょう。これは今後対応してほしい、するべき対策です。

しかし取り急ぎ解明すべきは「中国産米」の混入を行った犯人です。そこに焦点を絞っての提案をします。

外国産米の行き先を厳格にする


先述したように、2017/2/17現在、農林水産省は「京山」「偽装米混入」について調べているそうです。記者会見では「京山以外の偽装は調べないのか?」という質問があり「今のところ考えていない」と回答していました。それでは困ります。いい加減な処理は「お米不審」を招き、お米を買い控えにも繋がります。国は今回の問題はもっと深く重く受け止めるべきです。

というわけで私からの提案は、ミニマムアクセスなどで入ってきている「中国産米」など外国産米の行方を調べてはどうでしょうか?

トレーサビリティ制度が作られて、お米の行き先は管理できるようになっているんだから理論的に可能です。こちらの方法であれば「中国産米」を仕入れたが業者を調べ上げれるだけです。もちろんバレないように色々画策しているんでしょうけど、本来入っていてはいけない「中国産米」の行き先が明らかになれば「京山」以外の不貞な業者が浮かび上がるはずです。

繰り返される偽装についてひとこと

さて。当サイトでは過去、様々な偽装問題について私なりに掘り下げてきました。ちなみに未だにアクセスが多いのは「オリーブオイル」偽装です。私も毎日使っているオリーブオイルですからお気持ちは判ります。
中国産、韓国産わかめを鳴門わかめに偽装
鶏肉の偽装もありました。
食べ物だけではありません。羽根布団の偽装も起こっており、まだ解決できているとは言えません。
詳しい内容はそれぞれの記事を読んでいただけると幸いです。

ただ、これらの「偽装問題」を取り上げる度に思っていた事があります。それは「基準が無い時は何を持って偽装と判断するのか」ということや「完璧に偽装を防ぐ方法はないかもしれない」ことです。

例えば特に注目されている「オリーブオイル偽装」に関して言えば「オリーブオイルの世界基準を遵守する法律がない日本では厳密に言うと偽装とは言えない現実」があります。この状態を解消するには日本にも世界基準を導入するしかありません。しかし「世界基準」が正しいと言い切れるでしょうか?

国によって環境や考え方などの違いがあります。日本は特に厳しい、厳しすぎるほどの食の安全へのこだわりがあり、正直、欧米基準の環境やルールでも「どうだろう?」という基準もあります。故に「日本独自の厳しいルール」を作り、厳格に守る方向が良いのではないかと思います。なにも欧米に追随する必要はありません。自分たちで考え、導き出した食品安全のルールを世界のスタンダードにしていくくらいの気概が有っても良い気がします。「一本筋の通った食の基準」を作り、それが他国の消費者にも広がって支持を得られれば、外圧にだって負けない力になると思うのですが。いかがでしょう。

そして「偽装を完璧には防げない」ことですが、例えば今回のお米で考えると5%以下であれば偽装とはされません。それは意図せずに起こる他品種の混入の可能性を完全排除できないからです。なら意図的に「4%の中国産米」を混ぜたらどうでしょうか。他の品種が混じるリスクを完璧に無くせる環境でお米作りをしていない以上、無理だと思うのです。となるともう生産者、JA、米卸、小売り店への信頼だけが頼りです。

なので私たちにできることは「裏切られた会社のものは二度と買わない」こと、そして信頼に値する生産者や米卸、お店には適切な対価を支払い、支える事です。お米が安いと嬉しいですが、その美味しさを作ってくれる感謝の気持ちを込めた値段を払える人でありたいものです。お財布事情が厳しくても・・・。

週刊ダイヤモンドvsJA京都

2017年3月13日に公開されたJA京都の資料によると、京山が販売したお米に「中国産米」の混入は無いという鑑定結果が出ました。今後はこの二つの検査結果を元に戦いが始まります。

週刊ダイヤモンドが仕掛けた戦いに、JA京都は独自の鑑定結果を持って答えました。今後週刊ダイヤモンドが2度目の特集なり反撃記事を掲載するのか、あるいは沈黙を持って答えるのか。法廷闘争へ移動するのか要注目です。

はっきり言える事は、週刊ダイヤモンドは沈黙で答える事は許されません。今回のJA京都側の発表した鑑定結果を紙上に載せるべきです。相手の反論にも耳を傾ける必要があります。そして京山側(JA京都)の反撃に対して正当な論拠があるならしてほしい。続報をお願いします。

最後にひとこと

週刊ダイヤモンドのスクープが事実なのか。京山が否定しているため、まだ確定していません。農林水産省も調査中です。続報を待ちたいと思います。ただ、他に偽装が見つからない事を祈ります。

2017/3/16 追記
JA京都が同位体検査を行い、中国産米の混入は無かったという鑑定結果を公表しました。週刊ダイヤモンドと京山、どちらが正しいのか今のところ結論は出ていません。結局は裁判へ持ち込まれて白黒を付けるという事になるのではないでしょうか?疑惑払拭にはまだ時間が掛かりそうです。

ここまでお読み下さり、ありがとうございました。

スポンサーリンク

新しい記事を公開するとツイートしています。

フォローする

関連するかもしれない記事

コメント

  1. 業界人 より:

    同位体研究所の検査方法は学会で認められた検査手法なのですか?同位体研究所の産地判別は絶対なのですか?現時点では米業界の者なら誰でもそんな判別方法は聞いた事もないし、そんな会社も聞いたこと無いですけどね。まだお米の産地判別は技術的に確立出来ていないはずですしね。今回の事件の発端はこの同位体研究所の手法にあると思いますがね。

    • より:

      業界人様へ

      はじめまして、Select Japan Closet 管理人優と申します。
      この度はコメントをありがとうございました。

      さて、業界人様の質問について、門外漢の一般人としての意見を述べます。

      1.同位体研究所の検査方法が学会で認められた検査手法なのですか?
      2.同位体研究所の産地判別は絶対なのですか?

      この二つの質問についてですが、「学会」というのがどこの「学会」をさしているのか、私には判らないので、推察で「農産物の検査について研究している学会」と仮に捉えます。

      記事の中でも述べていますが「同位体検査」はまだ「確実性」の無い検査方法だと思っています。理由は、「同位体検査」についての検査精度が週刊ダイヤモンドの当該記事において「92.8%」、私が個人的に探した別の会社「ビジョンバイオ」でも94.6%(2014年)でした。ですから、業界人様のおっしゃっている「学会」がどんな学会であっても、現段階の数字では「認められない」だろうと思います。もしこの二つの会社の検査結果を裁判材料として使い、戦う事があったら、「勝てる材料」になりえないと思うので。故に2つ目の「同位体研究所の産地判別は絶対なのか?」という質問については、自ずと絶対ではないという答えになります。

      蛇足ですが、「ビジョンバイオ」の「国産米表示確認検査」のページに「本検査は産地を「特定」または「断定」するのではなく、「判別」もしくは「推定」する検査になります。」としっかり書かれています。
      こちらのページです。
      http://www.visionbio.com/place/domestically_produced_rice/

      「推定になる」と記載されている分、「同位体研究所」よりも誠実な印象です。ただ「同位体研究所」でも解析をする段階で「推定」だと依頼者に告げているかもしれませんから、一方的に「同位体研究所」は信用出来ないとも言い切れません。

      どちらにしても確率がまだ推定しか出来ないレベル検査だと素人の私でも思うので、記事の中でも申し上げていますが、今回の「週刊ダイヤモンド」の書き方は若干「行き過ぎた表現」になっていると思います。ただ雑誌とはそういうものですし、新聞ですら朝日新聞のように嘘をまき散らして平然としています。現在のメディアに対する信用度はそれほど高くありません。雑誌を読んでも「話は半分」と捉えている人も多いのではないでしょうか。

      ただ、生産者、米卸業界、JA業界、農林水産省、検査業界に対して、不審感を持っています。その理由は、今までも別件の偽装がありましたし、カビ毒の入った事故米を流通させました。それに記事の中でも触れていますが「生産されている魚沼産こしひかり」よりも多くの「魚沼産こしひかり」が流通しており、こういう問題を放置してきた業界とも言えるからです。

      行き過ぎた表現があったとは言え(私の印象ですが)「週刊ダイヤモンド」の報道がなければ、産地の判別できる技術が確立できていないことを理由に、「中国産米入り国産米」「表示と違う都府県産のお米」が流通している可能性すら知り得ませんでした。もしこれが事実なら、今後は信じられる農家さんから直にお米を買いたいなと思ったくらいですし、そうしようと思っています。

      その方が、きちんとした対価を渡せますし、感謝の言葉だって伝えられます。主食であるお米を生産してくれている農家へのこの当たり前の行為が行われていない事も偽装米流通の原因の一つでしょう。これは「安くしろ。安くないと買わない」という圧力を掛けすぎる一部の消費者の責任だと思います。

      ですから私は今回の疑惑報道を単なる「攻撃」として捉えずに、お米業界への不審感を吹き飛ばすきっかけにしてほしいと思っています。実際、ほとんどが真面目に美味しいお米を作って努力しているはずです。一部の不届き者の偽装のせいで、同じように「偽装」しているのではと思われてしまうのは気の毒です。

      そこで私が思っていることですが、記事に書いた通り「中国産米は発見されていません(変な表記ですが)」「産地は○○県だと思われます」というような同位体検査の「推定結果」を表示する、表示できるように、検査項目に「同位体検査」を加え、ルールを変えるなどの、自己改革をしてほしい。そのために、JA側にも自ら選定した会社に「同位体検査」を依頼して、結果の公開をしてほしいと思っています。

      週刊ダイヤモンドの報道は、元々あった疑惑の火種に火を放った。それを事故だと済ませないで欲しいのです。今やらなければ「なんだ。やっぱり疑惑は真実だったのか」と考えるようになるでしょう。「精度に問題はあるが、同位体検査を自分たちでもしました。結果は推定ですが、こうなりました」と発表してほしい。ただそれだけです。

      「同位体検査されたんだから、同位体検査をして対抗すればいいじゃん。どうしてこれが出来ないのかな?」と素人の私は考えています。ちゃんと「同位体検査の精度は90%以上だといわれていますが、その程度です」と前置きして堂々と発表すればいいじゃん」と思ってしまう。この感覚が「一般人」でしょう。そしてその感覚に合わせて対応する柔軟さが役所には欲しい。

      そしてもし「中国産」と推定されるお米粒が全く発見されなかったなら、それは大変なことです。許される事ではありません。そのときは「週刊ダイヤモンド」と「同位体研究所」を攻撃し、ねつ造報道の責任を取らせればいいのです。ねつ造なら悪質すぎますから、廃刊にまで追い込んでも良いでしょう。メディアとしてねつ造行為だけは絶対に許されないのですから。

      今、ここまで書いた内容をお返事として投稿しようとしたところで、新たなJA側の動きが無いかとチェックしたら、2/28の動きとして「重元素安定同位体比分析」を「日本穀物検定協会」に依頼したと発表がありました。これは嬉しいことです。これで米業界の身の潔白を晴らす第一歩になるに違いありません。
      JA京都の発表する「重元素安定同位体比分析」の結果が一体どういうものになるのか、非常に興味深いです。というわけで、結果を待ちたいと思います。もちろんその結果はちゃんと記事に追記します。

      私からは以上です。
      このたびはコメントをありがとうございました。

      Select Japan Closet 管理人:優