以前からずっと興味のあったお灸。でも「熱そう」「煙が嫌」と手に取る事はありませんでした。でも何気なくお灸コーナーを見ていたら「シールを剥がして貼るだけ」のお灸を発見。これならと思ってお試しサイズを買ってみました。
お灸の歴史
「お灸」の基礎知識を得るべく、手元の電子辞書で調べました。
灸「キウ」
漢方療法の一つ。もぐさを肌の局部、経穴(けいけつ)、灸穴(きゅうけつ)にのせてこれに火を点じて焼き、その熱気によって病を治療すること。やいと。灸治。灸術。(広辞苑より)
より詳しく知りたい方はwikiへどうぞ。面倒な方は当ページの極めて簡潔な紹介を載せておくので参考になさってください。

何時頃からあるのか?
お灸は3000年前の中国にはあったそうです。流石です。
日本には何時入ってきたのか?
懐かしの「遣隋使」「遣唐使」が「仏教」と共に持ち帰った民間療法でした。
ただ入ってきた600年〜800年頃にはそれほど流行しなかったようで、日本で広がったのは江戸時代でした。その時のキャッチコピーは「弘法大師が持ち帰った灸法」であっという間に大流行した模様です。
お灸の出てくる文学
有名な俳人松尾芭蕉の「奥の細道」や吉田兼好の「徒然草」にも登場するほど定着していました。どちらも「お灸」が「民間療法」として広まる要因になったのは間違いないでしょう。
お灸の種類
「お灸」はもぐさを乗せて焼くだけだと思っていたのですが、色んな種類がありました。
直接肌の上に乗せて、その跡が残るお灸を「有痕灸」、肌に直接乗せない、あるいは、肌に跡を残さない「無痕灸」と言うそうです。ここでは代表的なものだけご紹介します。
有痕灸
跡の残るお灸です。
- 透熱灸
- いわゆるもぐさを乗せて焼くお灸です。
- 焼灼灸
- 魚の目やたこなどの角質が固くなった部分に乗せて焼くお灸です。
無痕灸
跡が残らない、残さないお灸です。
- 知熱灸
- もぐさが8部くらい焼けたら消す、大きめのもぐさで熱を感じたら消すお灸です。
- 隔物灸
- もぐさと皮膚の間に「びわの葉」や「にんにく」などを挟んで行うお灸です。初耳でした。
- 台座灸(温筒灸、円筒灸)
- 隔物灸の一種だそうで、せんねん灸やカマヤ灸などの台座があるお灸を指します。
- 灸頭鍼
- 皮膚に鍼を指し、その柄に丸めたもぐさを付けて燃やして熱を伝えるお灸です。見た事がありました。
他にもガーゼを用いたお灸などもありました。お灸も色々と進化しているようですね。
お灸の効果
wikipediaによるとお灸の作用は確認されているようです。
自律神経に作用した結果、赤血球を増やして血流を良くする「増血作用」、血小板を増やして「治癒」を促進する「止血作用」、白血球を増やして免疫力を高める「強心作用」があるそうです。
せんねん灸太陽
というわけで、購入してきた「せんねん灸 太陽」です。6個入り。
パッケージの後ろには特長や使用方法、使用上の注意が書かれています。
取り出しました。お薬のシートみたいです。
同封の説明書にオススメのお灸ポイントが載っていました。でもちょっと初心者には不親切かな。ツボの正確な位置や名前も無いし、効果も判りません。お試しだからこそ代表的なツボの位置が判る冊子でもいれてくれたらいいのにと思いました。
おすすめのツボと場所
というわけで、付属の説明書では不満だったのでせんねん灸のサイトにいきました。すると「つらいときはこんなツボ、デジタルツボブック」という、全身のあらゆるツボの場所と効果、効能が判るPDFが公開されていました。
目次には「全身の症状」から始まり「頭痛」「腰痛」「目」「口」「鼻」「こころ」など多岐にわたるツボの項目があり、面白かったです。
さて、私の一番の目的の項目「腰痛」を見ると「慢性」「急性」「重だるい腰痛」と三種類の記載があり、該当するツボが紹介されていました。では、私が気になったツボをメモがてら載せておきます。
- 三陰交(さんいんこう)
- 女性向けの万能ツボ。生理不順や無月経、ホルモンバランスを整える。腰痛にも。
- 足三里(あしさんり)
- ぎっくり腰、重だるい腰痛、座骨神経痛、足のだるさ、筋肉痛。
- 太渓(たいけい)
- 慢性腰痛、重だるい腰痛。
- 承山(しょうざん)
- ぎっくり腰、座骨神経痛、足のだるさに良いツボ。
- 肩井(けんせい)
- 首や肩のコリ、寝違え、目、耳、歯痛、頭痛、冷え性。
- 腰陽関(こしようかん)
- 骨盤のゆがみ、消化不良、腰痛に。
- 太衝(たいしょう)
- ストレス・イライラ。
- 合谷(ごうこく)
- 太りやすい、むくみ、肩首のコリ、頭痛(緊張型)、眼精疲労
ツボの正確な場所は、せんねん灸さんの「とっておきの13のツボ」というページの動画を見て探しました。判りやすいかったです。
使用上の注意
「お灸」は火傷のおそれのある医療器です。自戒のために簡潔に注意点を記載しておきます。
主な物はこれくらいです。使用後のお灸は「不燃ゴミ」で処理します。
使用感
まずは「万能のツボ」という「三陰交(さんいんこう)」に貼ってみました。
最初はシールを剥がしたばかりで何も感じなかったのですが、20分くらいで熱く感じて剥がしちゃいました。すると少し赤くなっていました。
もったいないので、次は「足三里(あしさんり)」に貼りました。
ですが粘着力がかなり落ちてちょっと動くと落ちるレベルになっています。なのでじっとしていたのですが、「三陰交(さんいんこう)」と違って、30分経っても何も感じないのです。
あまりに熱くないので調べてみると、血行不良が酷いツボほど熱さを感じにくいそうです。私の重だるい腰痛は血行不良が原因なのかもと思いました。そうそう、この時点で身体が全体的に温かくなっていましたよ。
「足三里(あしさんり)」のツボを熱く感じていませんでしたが、長時間同じ場所に貼るのは良くないと説明書にあったので、次は「太渓(たいけい)」に貼りました。
しかしもう粘着力が無くて足を寝かせて無理に乗せている感じに。でもここは20分ほどで熱くなって外しました。皮膚に赤みがでるなどの変化はありませんでしたが、痒くなりました。温まったせいなのかな?
もう粘着力は完全になかったので手にあるツボ「合谷(こうこく)」に乗せました。
場所は「親指と人差し指の骨が交わったあたり(せんねん灸さんに個別ページがありませんでした)」です。一番簡単に判る場所です。ここは30分経っても熱くなりませんでした。皮膚の色の変化も無し。でもほんのり温かくて気持ちよかったので、落とさないように乗せ続けました。
初めてのお灸を終えて
ツボには「すぐに熱く感じる場所」と「何も感じない場所」があることを知りました。これはその部分が血行不良を起こしている証拠のようです。更に時間が経つと体全体が温まりました。お灸を乗せているその部分だけでなく、全体の血行も良くしてくれるようです。
翌日の変化ですが、目覚めの良さを感じました。そして仕事中に感じている腰の重だるさを意識しませんでした。どうやら私の腰痛に効果が出てくれたようです。これを続けたらもっと身体が楽になりそうな気がするので、しばらく続けてみることにします。
ただ、一点だけ不満があります。それは私のように「お灸」をあちこちに移動させる場合は粘着力があっという間になくなることです。ですから「移動を前提」として医療用のテープで止めるとよいかも?と思いました。
それにしてもこんなに気軽にお灸を試せるとは思いませんでした。火を使わないので火事の心配もないですし、親戚のおばあちゃんや腰痛持ちの友人、知人にプレゼントしても良いでしょうね。
2日目に気がついたこと(2017/9/5 追記)
1日目は「おお効いてるようだ続けてみよう」という感想だったのですが、2日目の今日は「効いてる」という確証を感じました。(ちなみに相変わらず熱さを感じない「足三里(あしさんり)」に長い間お灸を貼っていました)
というのも、私の腰痛は、お尻の中というか腰の中というか、その辺りに鈍い痛みの固まりがある感じで、それがいつまでも「じーん」「ここだ〜」と主張してくる存在なのですが、今日、そやつの主張が無い事に気がついて、大変驚きました。いつもなら日中必ず右腰に手を当てて「うう」っとその存在にため息を漏らすのに今日は無いのです。
どうやら私には「お灸」が非常にあっていたようです。もう「お灸」無しではいられなくなったかもしれません。個人差は必ずありますが、長年纏わり付いているような腰痛をお持ちの方は「お灸」を試す価値があるかもと思いました。
メーカーさんへ
火を使わないで気軽に試せる「太陽」はとても良かったです。でもすぐに熱くなって外したあとに移動させるときには、粘着力がほぼ無くなるのが不満なので、初心者向けにもう少しだけサイズを小さく、温度を低めにしたものがあると嬉しいなと思いました。
というか、手の「合谷」に乗せるととても大きいです。手などの小さめの場所には半分くらいのサイズでお灸が多めに入った商品があったら良いかも。どうでしょう?作ってほしいです。
まとめ買い(2018/12/28追記)
すっかりせんねん灸愛用者になってしまったので、たくさん入っているものを買っちゃいました。
もはやこれなしではいられないようになってしまった自分がちょっと怖いです。でも楽になるのでやめられないんだよね〜。
最後にひとこと
「お灸」という民間療法は個人差はあるでしょうが、一定の効果があるのだと思いました。健康のために「あれを食べろ」「これを食べるな」「運動しろ」が出来ない私のような人には「お灸」は簡単な健康法でした。気になる方はお試しどうぞ。

